はじめに
2024年年末、OpenAIは12日間連続の大型リリースを発表する大規模イベント「12 Days of OpenAI」を実施した。
この連続的な発表は、AIの進化を象徴し、開発者から一般ユーザーまで大きな注目を集めた。
本記事では、各日のリリース内容を順に振り返り、その魅力を詳しく解説する。
1日目: ChatGPT Pro登場
OpenAIは「o1」モデルをプレビュー版から大幅に進化させ、高速推論を可能とする新しいサブスクリプションプラン「ChatGPT Pro」を公開した。
「ChatGPT Pro」は月額200ドルで、OpenAIの最新モデルや高度な機能を利用できる最上位プランだ。このプランに含まれる「o1 pro mode」は、高精度な計算能力と複雑な課題への対応力を備え、研究者やエンジニアだけでなく、プログラマーやデータサイエンティストにも大きなメリットを提供する。
「ChatGPT Pro」の主な特徴
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最強モデル「o1正式版」と「o1 pro mode」
「o1正式版」に加え、さらに強化された「o1 pro mode」を搭載。複雑な課題や高度な専門的タスクにも対応する。 -
軽量モデル「o1-mini」
迅速な応答を必要とする場面に最適な軽量モデル「o1-mini」を利用可能。リソース効率に優れた設計が特長だ。 -
「Advanced Voice」機能
高度な音声入出力を可能とする「Advanced Voice」機能を備え、音声での自然な対話や情報提供を実現する。
ChatGPT Proの利用シーンとメリット
- 研究とデータ分析: 高度な計算能力により、複雑なデータ処理や解析が効率化される。
- プログラミング支援: 専門的なコード生成やデバッグに役立つ。
- 日常利用: 音声機能や精度の高い応答により、日常のタスクもスムーズに進められる。
AI技術は日々進化を遂げている。「ChatGPT Pro」を活用することで、その最前線に立つことができるだろう。最先端の技術を体験し、AIの力で新しい可能性を探り、未来への一歩を踏み出してほしい。
2日目: 強化学習によるファインチューニングが実現
ユーザー独自のデータを活用する「RFT(Reinforced Fine-Tuning)」が発表された。
RFTは、数十から数千の高品質なタスクを基にモデルをカスタマイズする技術だ。
提供された参照回答を活用してモデルの応答を評価し、類似する問題に対する推論力を強化する仕組みとなっている。この技術により、特定分野での精度向上が期待されている。
「RFT」の主な特徴
- 法律
法務分析や文書レビュータスクの高度化 - 保険
リスク評価や顧客データの高度な解析 - 医療
症例データ解析や診断支援の効率化 - 金融
資産管理や市場予測の精度向上 - エンジニアリング
設計プロセスの最適化やシミュレーションの活用
このプログラムは特に、客観的で正確な答えが求められるタスクに適している。専門家間で合意できる信頼性の高い結果を提供する能力が大きな特長だ。
3日目: 動作生成AI「Sora Turbo」
OpenAIは「Sora」の一般公開を決定、および「Sora Turbo」という新しい言語・画像生成モデルを公開した。
「Sora Turbo」は、従来の「Sora」を基盤としながらも、高速化や高解像度対応、編集機能の強化を実現したバージョンである。
このモデルは映画の流れを生成することさえ可能にするものだ。
「Sora」の主な特徴
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高解像度対応
最大1080pで鮮明な動画生成が可能。 -
生成速度の向上
短時間で動画制作を実現。 -
多機能編集
リミックス、リカット、ストーリーボードなどの強力な編集ツールを搭載。
「Sora Turbo」の主な特徴
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高速化された生成プロセス
「Sora Turbo」では動画生成のスピードが大幅に向上。これにより、短時間で高品質な動画を生成することが可能になった。 -
高解像度対応
最大1080pの解像度で、より鮮明な映像を作成可能。プロフェッショナルな動画制作にも対応できます。 -
長尺対応
最大20秒の動画生成がサポートされ、従来の短尺動画の制限を超え、さらに多彩な表現が可能に。 -
編集機能の強化
リミックス、リカット、ストーリーボードなどの編集ツールが統合され、クリエイターの表現力を最大限に引き出します。
これらの改良により、「Sora Turbo」は幅広いユーザー層に対応し、効率的で高品質な動画制作を提供する。
4日目: Canvas機能が提供開始
OpenAIはこれまでChatGPT PlusおよびTeamユーザー向けベータ版として提供されていた「Canvas(キャンバス)」を全ユーザーに開放すると発表した。
「Canvas(キャンバス)」は、従来のチャット形式とは異なり、文章やコードを編集・確認できる「作業スペース」を提供する。このツールにより、従来のようにチャット履歴に埋もれることなく、視覚的に内容を整理しながら効率的に作業を進めることが可能となる。
さらに、「Canvas(キャンバス)」では、テキストやコードを作成するだけでなく、ChatGPTとのリアルタイムでの共同作業が実現する。これにより、個人作業だけでなく、チームでの共同作業にも適した環境を構築できる。
5日目: Apple製品との深い統合
ChatGPTがAppleの音声アシスタント「Siri」と連携した新機能「ChatGPT x Apple Intelligence」を発表。これにより、Siriはタスクの内容や複雑さを判断し、必要に応じてChatGPTに依頼を引き継ぐ仕組みとなる。
たとえば、「クリスマスパーティーを計画して」と話しかけるだけで、ゲストリストや音楽リストを自動生成する。生成されたリストはChatGPTアプリ上で直接編集でき、柔軟な調整が可能だ。
Apple製品でChatGPTを利用するには、設定画面で「Apple Intelligence」を有効化すればよい。一部機能はChatGPTのアカウントがなくても利用可能だが、アカウントを連携することでさらに多くの機能を使える。
これにより、iPhoneやiPadにおいて高精度な音声認識と自然言語対応が可能となった。現在は英語のみ対応しているが、2025年4月には日本語対応が予定されている。
6日目: モバイル版の進化
モバイル版ChatGPTに搭載されている「Advanced Voice Mode」を大型アップデートを行い、リアルタイムビデオ機能と画面共有機能を追加した。
このアップデートにより、音声だけでなくカメラや画面を活用した新しい形のコミュニケーションが可能となった。
「Advanced Voice Mode」の特徴
- 画面共有機能
スマートフォンの画面を共有しながらChatGPTと対話できるようになった。メッセージアプリを共有し返信内容を相談する、アプリ操作のアドバイスを受けるなど、具体的で実用的な使い方が想定されている。 - 作業サポート
コーヒーメーカーや豆、ケトルを映しながら「コーヒーを淹れる手順を教えて」と質問すると、映像を確認しながらステップバイステップでガイドする。 - 人物認識
カメラに映る人物を判別し、「トナカイの角を被っているのは誰?」と尋ねると、「ミシェル」と答えるような高度な対応も可能だ。
ChatGPT Plus、Pro、Teamプランのユーザーが本機能を利用できる。EnterpriseおよびEduプランのユーザーには2025年初頭から提供予定。
本機能は現在順次展開中で、対象ユーザーにはアプリ内通知が届く仕組みとなっている。
7日目: Projects機能の開始
ファイルやタスクを一元管理できる「Projects」機能が発表された。
この新機能は、膨大なチャットや関連情報を整理し、複雑なタスクを効率的に進めるための管理手段を提供する。
「プロジェクト(Projects)」は、ビジネスや個人プロジェクトの管理において革新的な進化をもたらす。 この新機能は、以下のような用途に最適だ。
- ビジネスプロジェクトの管理
顧客情報や関連ファイルを一元管理し、業務の効率化を支援。 - 個人プロジェクトのサポート
趣味や学習用のリソースを整理し、目的に沿った作業を支える。
特に、関連ファイルの活用やカスタム指示の設定が可能である点が際立っている。これにより、目的に応じた作業環境をより柔軟に構築できるようになる。
8日目: 検索機能の改善
OpenAIは検索機能「ChatGPT Search」を無料ユーザーにも公開した。この機能は、従来は有料プラン限定だったが、今回のリリースにより誰でも手軽に利用できるようになった。
さらに、新機能として「音声検索対応」や「モバイルマップ連携」が追加され、Web情報へのアクセスが大幅に強化された。この進化により、情報収集の効率と直感性がさらに向上している。
「ChatGPT Search」の特徴
AI技術×リアルタイム検索
従来のAI技術とリアルタイム検索を組み合わせることで、情報収集が効率的かつ直感的に進化したユーザー体験を得られるようになっている。
音声検索対応
新たに追加された音声検索機能により、スマートフォンやマイクデバイスを利用して直接質問を入力できる。これにより、ハンズフリーでの情報収集が可能となる。
モバイルマップ連携
地図アプリとの連携機能が強化され、地元の店舗情報やルート検索がChatGPT上で簡単に行えるようになった。例えば、「最寄りのカフェを教えて」と尋ねるだけで、地図情報が即座に提供される。
「ChatGPT Search」は、AI技術とリアルタイム検索の融合によって、情報へのアクセスを次のステージに引き上げた。無料ユーザーにも開放されたことで、さらに多くの人がその利便性を体感できるだろう。
9日目: 開発者向けo1 APIの提供
OpenAIの高精度AIモデル「o1」のAPIがついに公開を発表した。 このモデルは、複雑なタスクを正確に処理する能力を備え、多様なアプリケーションに対応できる点で注目を集めている。
関数呼び出し
- 外部APIやデータと連携し、リアルタイムで最適な回答を生成する機能を搭載。これにより、柔軟なシステム連携が可能となる。
画像推論
- 写真や図を理解し、内容に基づいた回答を生成できる。この機能は製造業や教育分野など、ビジュアルデータを扱う場面で特に有用だ。
開発者メッセージ
- 「会話のトーン」や「スタイル」を指定することで、自然な対話を実現する。これにより、カスタマーサポートの自動化やユーザー体験の向上に貢献する。
新たに追加された以下の機能により、AIアプリ開発は一段と効率化される見込みだ。
10日目: 電話やWhatsAppでの利用拡大
ChatGPTが電話やWhatsAppでの利用を可能にした。
このサービスにより、米国およびカナダのユーザーは電話を通じてChatGPTと直接会話できるようになった。月に15分間は無料で利用可能なため、手軽に試すことができる。
この新しいサービスは、音声やテキストを通じたChatGPTの利用範囲を広げるものだ。特に旅行中や即時の情報が必要な場面で、便利なツールとしての可能性を示している。
11日目: macOS版ChatGPTが進化
macOS向けChatGPTアプリがNotionのような機能を取り入れ、さらに強化された。
2025年にはWindows版の独自ユーザーインターフェースも登場予定。
12日目: 次世代モデル「o3」の発表
OpenAIが超次世代モデル「o3」「o3-mini」を発表した。
高性能な知識処理能力と学習構造を備えたこのモデルは、以下のような非常に高いベンチマークをたたき出している。
- ARC-AGI
87.5%のスコアを達成。高度な推論が求められる状況で高いパフォーマンスを発揮 - Codeforces
2727点を獲得。コーディングが格段に優れていることを証明。 - EpochAI Frontier Math
解答率25.2%。他モデルの10倍以上の成功率を記録。 - AIME 2024。96.7%の正答率
アメリカ数学オリンピックの難関理論試験で、不正解は1問だけという精度。 - GPQA Diamond
87.7%のスコアで、o1の78%を上回り、人間の専門家よりも優れている。
「o3」の特徴
- 高精度な推論を実現し、複雑なタスクに対応可能。
- 計算能力を最大化した場合、ARC-AGIで87.5%など非常に高い精度を発揮。
「o3-mini」の特徴
- 「低」「中」「高」の3モードで推論時間を調整可能。
- 数学ベンチマークでgpt-4o同等のレイテンシを実現。
o3の高速かつ簡素化されたバージョンとして、o3-miniが2025年1月末に利用可能となる。その後、o3も2025年以降の正式運用が予定されている。
まとめ
12日間にわたるOpenAIの発表は、AIの未来が新たな段階に進んだことを強く示している。
これらの技術が今後どのように活用され、どんな変化をもたらすのか注目していきたい。
以上が2024年末、OpenAIからのXmasプレゼントの全貌である。
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