はじめに
5,000万円以上の資金を集めながら、蓋を開けてみれば「完成度3%」。
人気YouTuber・上級騎士なるにぃ氏が主導するゲーム開発プロジェクト『誓いノ淵』が直面している現状は、インディーゲーム界隈のみならず、プロジェクトマネジメントに携わるすべてのエンジニアにとって戦慄を覚える事態だ。
2週間勉強した初心者レベルのコードしか残ってないなんて…
「不退転の決意でやり直す」と宣言したなるにぃ氏。
その覚悟は否定しないが、現場を知るエンジニアやマネージャーの視点から見れば、「このプロジェクトは今すぐ畳むべきではないか」という疑念が拭えない。
1. 「丸投げ」という名のマネジメント放棄
今回の騒動で最も衝撃的だったのは、5,000万円のうち約4,000万円がディレクターへの報酬として支払われながら、コードとして動くのは実質数%という事実だ。
エンジニアとしての経験上、これは単なる「開発の遅れ」ではない。「進捗管理の完全な消失」だ。
成果物を確認せずに数千万を溶かすのは、もはやマネジメントの職務放棄だよ
- ブラックボックス化の恐怖: 専門外の領域(ゲーム開発)を、信頼するディレクターに全任してしまった。
- マイルストーンの欠如: 4,000万円を支払う過程で、動作するビルドを確認し、品質を担保するフェーズが一度も機能していなかった。
プロデューサーやオーナーの役割は、現場を信じることではない。「信じられる根拠(成果物)」を常に確認し続けることだ。
ディレクターとのディスコミュニケーションは、個人の性格の問題ではなく、管理体制という仕組みの欠陥に他ならない。
2. 5,000万円の重みと「掌握不足」の罪
支援者から預かった5,000万円。これは単なる軍資金ではなく、期待という名の負債だ。
この巨大な資金を管理する立場として、なるにぃ氏に「自覚が足りなかった」という指摘は避けられない。
予算管理の失敗は、往々にして以下のスパイラルを生む。
- 期待値のインフレ
→予算があることで、理想だけが肥大化する。 - 現場のブラックボックス化
→資金が潤沢にあると、細かなコスト意識が薄れ、検証が疎かになる。 - リカバリー不能な損失
→気づいた時には資金の8割を失い、成果物は「2週間勉強した初心者レベル」のものしか残らない。
むしろ、明確な規律がない大金は、プロジェクトを腐らせる毒にもなるんだ
エンジニアであれば、開発初期にプロトタイプ(MVP)を作り、早期にリスクを洗い出す重要性を知っている。しかし、本プロジェクトではその「技術的検証」よりも「予算の垂れ流し」が先行してしまった。
3. なぜ「継続」ではなく「撤退」が正解なのか
なるにぃ氏は「1からやり直す」と宣言しているが、私はこれに強い危機感を覚える。
なぜなら、「失敗の本質的な原因」が、彼の資質そのものに根ざしている可能性が高いからだ。**
| 懸念点 | 内容 |
|---|---|
| スキルのミスマッチ | 考察や動画制作の才能と、ゲーム開発のPM能力は別物。 |
| 二重の負担 | 返金原資を稼ぐための活動と、ゲーム開発の指揮。リソースが分散し、どちらも中途半端になるリスク。 |
| サンクコストの罠 | 「ここまでやったから」「支援者に申し訳ないから」という感情が、冷静な判断を狂わせる。 |
一度崩壊したチームを、同じリーダーが「少数精鋭」で立て直すのは極めて困難だ。
特に、前回「ディレクターに任せすぎた」反省から、次は自ら過剰に介入し、現場をマイクロマネジメントで疲弊させる未来が容易に想像できる。
4. エンジニアがこの事例から学ぶべき「防衛策」
あなたがもし、今後何らかのプロジェクトを主導、あるいは参加する場合、この「誓いノ淵」の事例を他山の石としなければならない。
- 「動くもの」を評価軸にする
→美麗な企画書や威勢の良い言葉ではなく、常に「今、何ができるのか」というビルドを基準に判断せよ。 - 権限と責任を分離しない
→全権を委任しても、最終責任はオーナーにある。報告を待つのではなく、情報を取りに行け。 - サンクコストを切り捨てる勇気
→失敗を認めるのは苦しい。しかし、傷口を広げ続けることは、支援者に対する最大の不義理になり得る。
まとめ
なるにぃ氏の「最後までやり遂げる」という姿勢は、一見すると誠実に見える。
しかし、プロジェクト掌握能力が欠如したまま突き進むことは、再び同じ過ちを繰り返し、支援者の時間をさらに奪う結果になりかねない。
「自分の限界を知り、適切に幕を引く」
これもまた、プロジェクトを預かるリーダーに求められる、残酷で、かつ最も必要な責任の取り方ではないだろうか。
でも、プロとしての責任を果たすなら、一度立ち止まる勇気も必要だよね…

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