はじめに
「Android Studioを最新版にアップデートしたら、日本語化できなくなった」
この問題は、2024年後半の「Ladybug(2024.2.1)」以降、決定的な課題として定着した。
原因は明白だ。Meerkat以降、Android Studio向けの日本語言語パックが公式マーケットプレイスで配布されなくなったからだ。
従来の「プラグイン設定から検索してインストール」という手順を知る人ほど、解決策が見つからず立ち往生してしまう。
しかし、諦める必要はない。
この記事では 2025年時点で確実に動作する日本語化の手順 を、実務目線で解説する。
少しだけ手間はかかるが、仕組みを理解すれば決して難しくはない。
Meerkat以降で何が変わったのか
まず、現状を整理する。
- IntelliJ IDEA: 日本語パックが最初から「同梱(Bundled)」される仕様に変更された。
- 配布形態の変化: 同梱化に伴い、外部プラグインとしての単体配布が停止した。
- Android Studioの孤立: Android StudioはIntelliJがベースだが、日本語パックは同梱されていない。
つまり、「同じビルド番号のIntelliJ IDEAから日本語パックを抽出し、Android Studioへ手動で移す」 のが、2025年現在における唯一かつ最強の最適解だ。
事前確認:対応バージョンについて
以下の最新バージョン群で動作を確認済みだ。
- Android Studio Meerkat | 2024.3.x
- Android Studio Narwhal | 2025.1.x
- Android Studio Otter | 2025.2.x
鉄則は一つ。Android Studio と IntelliJ IDEA の「ベースとなるビルド番号」を完全に一致させること。
ここが1バージョンでもズレると、起動エラーやメニューの文字化けを引き起こす原因になる。
手順1:Android Studioのビルド番号を特定する
Android Studioを起動し、Welcome画面の「Help」または歯車アイコンから「About」を開く。

ここで確認すべきは、名称(Meerkatなど)ではなく ビルド番号(例:243.21565.193) だ。
この数字の「上3桁(243など)」が、IntelliJ IDEAのバージョン選びの基準になる。

手順2:古い日本語パックを完全に削除する
過去のバージョンから引き継いだ古いプラグインが残っていると、競合して起動しなくなる恐れがある。
Android Studioの [Settings] → [Plugins] を開く。
「Installed」タブの中に Japanese Language Pack / 日本語言語パック があれば、迷わずアンインストールする。
その後、一度Android Studioを終了させる。
手順3:同一バージョンの IntelliJ IDEA を入手する
JetBrainsの公式サイトから、先ほど確認したビルド番号に対応する IntelliJ IDEA Community Edition をダウンロードする。
- バージョン選択: Android Studioのベースビルド(例:2024.2.x)と同じものを選択。
- ファイル形式: Windowsなら Windows x64 ZIP Archive が扱いやすくておすすめだ。

手順4:日本語パックの「抽出」と「配置」
ダウンロードしたIntelliJのZIPファイルを解凍し、中身を探索する。
ターゲットは以下のディレクトリにあるフォルダだ。
ideaIC-202X.X.X\plugins\localization-ja
この localization-ja フォルダ をコピーし、Android Studioのインストール先にある plugins フォルダへ貼り付ける。
C:\Program Files\Android\Android Studio\plugins
ここへ localization-ja をフォルダごと配置すれば、準備は完了だ。
手順5:言語設定を切り替える
Android Studioを起動する。この時点で自動的に日本語化されるケースも多いが、変わらない場合は以下の設定を確認してほしい。
[Ctrl] + [Alt] + [S]で設定を開く。Appearance & Behavior>System Settings>Language and Regionへ進む。- Languageリストから Japanese 日本語 を選択する。
- 「Restart」を押し、再起動をかける。
これで、最新のMeerkatやNarwhalが日本語環境で立ち上がる。

よくあるトラブルと対処法
起動時にエラーメッセージが出る
ビルド番号の不一致が主な原因だ。Android Studioの「About」に記載されている Build #AI-XXX.XXXX.XX の XXX.XXXX 部分に最も近いIntelliJを再取得してほしい。
メニューが一部英語のまま
手動配置の場合、100%の翻訳は保証されない。特にAndroid Studio独自の機能(Device Managerなど)は英語のまま残る場合があるが、開発に支障はないレベルだ。
プロジェクトが壊れたように見える
言語変更後にビルドが通らなくなった場合は、キャッシュのクリアが有効だ。
File > Invalidate Caches... を選択し、すべてのチェックを入れて再起動を試してほしい。
まとめ
2025年以降のAndroid Studio日本語化は、「IntelliJからプラグインを拝借する」という少し強引な手法が標準 になった。
- バージョン(ビルド番号)の一致 が生命線だ。
- localization-ja フォルダを正しく配置する。
- キャッシュ削除 を恐れない。
一度環境を構築してしまえば、快適な開発ライフが手に入る。
英語メニューにストレスを感じているなら、今すぐ試す価値は十分にある。


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