はじめに
AIやディープラーニングの理解には、数学的基礎の把握が不可欠だ。G検定でも、数学知識を問う設問が定期的に出題される。特に微分や偏微分は、モデルの学習アルゴリズムを理解するうえで重要な知識である。
本記事では、G検定の過去問を題材に、偏微分の計算過程と考え方を整理していく。
問題:関数zをyについて偏微分する
以下の関数zについて、変数yによる偏微分を行った結果として最も適切な選択肢を選べ。
z = x・y² − 5xy − 6x + 10y³ + y − 100
選択肢は以下のとおり。
- 2xy − 5x + 30y² + 1
- xy² + 10y³
- y² − 5y + 10y³ + y
- y² − 5y − 6
偏微分とは何か?
偏微分とは、多変数関数に対して、特定の変数以外は定数とみなしながら微分を行う操作である。
今回の問題では、xとyの二変数が関数zに含まれているが、yについての偏微分を求めるため、xは「ただの数字」として扱う。
解き方のステップ
関数
z = x・y² − 5xy − 6x + 10y³ + y − 100
これをyで偏微分する。各項ごとに処理してみよう。
項ごとの偏微分
| 項 | 偏微分(∂z/∂y) |
|---|---|
| x・y² | 2xy |
| −5xy | −5x |
| −6x | 0(yと無関係) |
| 10y³ | 30y² |
| y | 1 |
| −100 | 0(定数) |
したがって、各項の偏微分結果を足し合わせると、
∂z/∂y = 2xy − 5x + 30y² + 1
正解の選択肢はどれか?
選択肢1を確認すると、
「2xy − 5x + 30y² + 1」
確かに一致している。
したがって、正解は「1. 2xy − 5x + 30y² + 1」となる。
他の選択肢はなぜ不正解か?
G検定では、正解だけでなく「なぜ他が違うのか?」を論理的に見抜く力が問われる。以下にそれぞれの選択肢の誤りを整理した。
| 選択肢 | 内容 | 誤りのポイント |
|---|---|---|
| 2 | xy² + 10y³ | 偏微分していない。元の関数から項を選んだだけで、微分されていない |
| 3 | y² − 5y + 10y³ + y | xを無視しすぎ。xを係数とする項が完全に除外されている |
| 4 | y² − 5y − 6 | 項の取り違え。10y³や+1が消えてしまっている上に微分が誤っている |
試験で役立つ偏微分のテクニック
1. 「他の変数は定数」と見なす
偏微分の基本中の基本。対象変数(今回はy)以外の変数は固定された数値と思ってよい。xが含まれていても、係数と同じ扱いになる。
2. 各項を「バラバラに」微分する
関数が複数の項の足し算・引き算になっている場合、それぞれを独立に微分して合計すればOK。積や商になっている場合のみ、積の微分・商の微分の公式が必要になる。
実務にもつながる知識
偏微分の知識は、G検定の合格だけでなく、機械学習モデルの理解や設計に直結する。
たとえば、ニューラルネットワークでは、損失関数を各重みで偏微分し、勾配降下法で最適化を行う。数学的に理解できていないと、ブラックボックスのまま使うことになる。
まとめ
G検定で頻出の数学問題、特に偏微分の理解は、機械学習の基盤である。今回の問題では、以下のように考えればよい。
- 変数yで偏微分する場合、xはただの数字として扱う
- 項ごとに微分して合算するのが基本手法
- 正しい理解が応用力につながる
問題の正答は「1. 2xy − 5x + 30y² + 1」。
一見するとシンプルな式変形だが、意味と背景を理解しながら進めることで、実務的な応用力が身につく。
G検定を通してAIの基礎を理解するためにも、こうした基礎的な数式処理は避けて通れない。次の問題に向けて、手を動かしながら身につけていこう。


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