はじめに
G検定を受験する際、多くの受験者がつまずくのがディープラーニングのアーキテクチャに関する問題だ。
中でも「GoogLeNet」について問われるケースは少なくなく、正確な理解が求められる。
本記事では、G検定の過去問を取り上げながら、GoogLeNetの特徴と他のネットワーク構造との違いを整理していく。
実際の過去問を確認してみよう
GoogLeNetの説明として、最も適切な選択肢を選べ。
選択肢
- Inceptionモジュールを用いたネットワークである
- Residualモジュールを用いたネットワークである
- 畳み込み層を5層重ねつつ、pooling層で特徴マップを縮小し、3層の全結合層により最終的な出力を得るネットワークである
- RNNの繰り返しモジュールを用いたネットワークである
正解は「1. Inceptionモジュールを用いたネットワーク」
なぜ「Inceptionモジュール」が正解なのか?
GoogLeNetは、2014年の画像認識コンテスト「ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge(ILSVRC)」で優勝した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)である。
その最大の特徴は「Inceptionモジュール」を導入した点にある。
Inceptionモジュールとは?
Inceptionモジュールは、複数の畳み込み層(1×1、3×3、5×5)とプーリング層を並列に走らせ、その出力を結合する構造を持つ。これにより、画像内の特徴を多様なスケールで抽出できるようになる。
具体的には以下のような処理が同時に走る:
- 1×1畳み込みでチャンネル数を削減し、計算量を抑える
- 3×3および5×5畳み込みで局所特徴と大域特徴を同時に取得
- プーリングで空間的な圧縮を行いつつ重要な情報を保持
このように、従来のCNNと比べて情報の取りこぼしが少なく、高い表現力と汎化性能を両立させたネットワークだ。
他の選択肢はなぜ間違いか?
G検定では、正解を覚えるだけでなく「なぜ他が不正解なのか」を理解することが重要だ。
それぞれの選択肢を検証してみよう。
| 選択肢 | 説明 | 誤りの理由 |
|---|---|---|
| 2. Residualモジュールを用いたネットワーク | ResNet(2015年)で導入された技術。層が深くなると発生する勾配消失問題を解消するため、スキップ接続を採用。 | GoogLeNetでは採用されていない。別アーキテクチャの特徴。 |
| 3. 畳み込み層を5層重ね、pooling後に3層の全結合を持つ | VGG16などの構造に近い。層を深く積むことで高精度化を目指した設計。 | GoogLeNetは全結合層を使わず、Inceptionで情報抽出を行う点が異なる。 |
| 4. RNNの繰り返しモジュールを用いたネットワーク | 時系列データや自然言語処理に用いられる再帰型ニューラルネットワーク。 | GoogLeNetは画像認識向けCNNであり、RNNとは無関係。 |
このように、選択肢ごとの特徴と用途を理解しておくことで、類似問題への対応力が高まる。
GoogLeNetの実用面と進化
GoogLeNetは「深くするだけでなく、効率よく学習する」方向性を示した先駆けだった。
その後のネットワーク構造はこの思想をベースに多くの派生を生んでいる。
代表例:
- Inception-v2 / v3 / v4:バッチ正規化や因数分解畳み込みを導入
- Inception-ResNet:InceptionモジュールとResidualモジュールのハイブリッド構成
こうした変遷を押さえることで、単なる暗記ではなく構造的な理解が深まる。
まとめ
G検定では、GoogLeNetのような代表的なネットワークの特徴を正しく把握することが問われる。
今回の過去問では「Inceptionモジュールを用いたネットワーク」というポイントがカギだった。
✔ GoogLeNetの特徴 → Inceptionモジュールにより多スケールな特徴抽出が可能
✔ 他の選択肢 → ResNet、VGG、RNNなどと正確に区別する必要がある
✔ 試験対策 → ネットワーク名とその設計思想・構造をセットで覚えると有効
この問題を通じて、ただの用語暗記から一歩進んだ「構造の理解」に踏み込んでもらいたい。


コメント