はじめに
Visual Studio Code(VSCode)の拡張機能「Cline」を使えば、AIの力を日常の開発環境に取り込むことが可能になる。
特に、Googleの先進AIモデル「Gemini」と連携させることで、まるでCursorのような快適な開発体験が手に入る。
この記事では、ClineとGemini APIの連携方法をステップバイステップで解説していく。
Gemini APIキーを取得する
GeminiのAPIキーの取得手順について、以下の記事に詳しく記載している。
もしまだAPIキーを作成していない場合は、記事を参照して、APIキーを作成する。

ClineにGemini APIを設定する
APIキーの準備ができたら、次はVSCodeのClineに組み込む工程へ進む。
- Clineの設定画面を開く
VSCodeのサイドバーに追加されたClineのアイコンをクリック。
見当たらない場合は、歯車マークから「Open Settings」を探してみよう。 -
APIプロバイダーにGoogle Geminiを指定
「API Provider」の項目で「Google Gemini」を選ぶ。
初回設定時には「Use your own API key」のような選択肢が表示される場合がある。 -
APIキーを入力
先ほど取得したAPIキーを「API Key」の欄に正確に貼り付ける。 -
モデルを選択
gemini-2.0-flash-exp
やgemini-2.5-pro-exp-03-25
といったモデルの中から、自分の用途に合ったものを選択。
無料枠の有無や応答速度を基準にすると選びやすい。 -
設定を保存して完了
「Done」や「Let’s Go」などのボタンをクリックして設定を反映させる。
これでClineとGemini APIの基本連携は完了する。
開発をさらに快適にする追加設定
maxTokens:AIの応答の「長さ」を制御する
概要
maxTokens
は、AIが出力できる最大のトークン数を指定するパラメータ。
1トークンは約4文字(単語によっては1語=1トークン)に相当するため、値が大きいほど長文の出力が可能になる。
効果
- コード生成時に「途中で切れる」問題を防げる
- 複雑な問いに対して、丁寧で詳細な説明を得られる
おすすめ設定例
- 4000〜8000:十分な長さ。多くのケースでこれで十分
- 12000以上:非常に長いコードや説明が必要な場合(ただし応答速度が落ちる可能性あり)
注意点
- 値を大きくしすぎるとレスポンスが遅くなる
- 無料プランでは使用上限に達しやすくなる可能性もある
temperature:AIの「ひらめき度」を調整する
概要
temperature
はAIの出力の創造性(多様性)をコントロールする指標。
数値が高いほどユニークで柔軟な答えが返りやすく、低いほど一貫性が高く保守的になる。
効果
- 質問内容に対して多様なアイディアを出したいときに便利
- 冗長さを抑えて「きっちりした答え」が欲しいときは低めに設定
おすすめ設定例
- 0.2〜0.4:定型的で正確な回答が欲しい場合(例:仕様に忠実なコード)
- 0.6〜0.8:柔軟な提案やブレスト的な回答が欲しい場合(例:UIの改善案など)
注意点
- 高くしすぎると、意図しない内容や精度の低いコードが混ざる場合もある
- 安定性が必要な場面では控えめに設定するのが無難
MaxRequests:1分間の呼び出し回数を制限する
概要
MaxRequests
は、一定時間内にClineがAIへ送信するリクエストの最大回数を設定するオプション。
Gemini APIの無料枠にはリクエスト数制限があるため、これをうまく活用して回避する。
効果
- APIエラー(「Rate Limit Exceeded」など)を未然に防げる
- 不要なAPI呼び出しを抑えて、料金や通信量の節約になる
おすすめ設定例
- 5〜10:通常の開発用途には十分
- 20以上:連続的な生成作業を行う場合(ただし有料プラン向け)
注意点
- 上限を超えると、応答が一時停止またはエラーになる
- リクエスト数の多い操作を繰り返す場合は特に注意
Auto-approve:提案された操作の承認を自動化
概要
Auto-approve
はAIが提案するファイル操作(読み取り・編集)や、コマンド実行などに対して、毎回確認せず自動で承認するかどうかを選べるオプション。
効果
- 操作をスムーズに実行でき、手間が省ける
- 特にスクリプト修正やテンプレート生成の速度が向上
おすすめ設定
- 有効にする場合:頻繁にAI提案を受け入れる開発スタイルに適している
- 無効にする場合:セキュリティや誤操作が心配な場合に安心
注意点
- 誤ったファイルの編集・削除リスクがある
- 重要なファイルを扱うプロジェクトでは無効化しておくのが安全
Custom Instructions:AIに振る舞いをカスタマイズさせる
概要
Custom Instructions
はClineの設定項目の一部に「Custom Instructions」や「System Prompt」などがあれば、AIに対して「どう振る舞ってほしいか」を指示できるオプション。
使い方例
speak in Japanese
: 日本語で返答させるOnly return code without explanation
: コードだけ出力させたいときAct as a senior backend developer
: バックエンド開発者としての回答を促す
効果
- 回答内容の一貫性が増す
- 利用者の目的に応じて最適化された応答が得られる
注意点
- 指示が曖昧だと意図と異なる挙動になる場合もある
- 明確かつ簡潔に記述するのがポイント
まとめ
ここまで設定を終えれば、Clineのチャットインターフェースを通じてGeminiのAIアシスタントが利用可能になる。
コード生成、リファクタリング、デバッグ、あるいは技術の学習補助まで、多岐にわたる用途で力を発揮する。
VSCodeのCline拡張機能とGemini APIを連携させることで、最先端のAI技術を日常の開発に取り入れることができる。
APIキーの取得と簡単な設定だけで、高度なAIアシスタントを即座に導入可能だ。
この記事の手順を参考に、自分の開発環境にもこの強力なツールを加えてみてほしい。
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