はじめに
「今、最も単価が高い言語は何か?」
その問いは単なる好奇心では終わらない。キャリアの方向性、学習の優先順位、技術選定――すべてがこの問いの先にある。
この記事では、2025年時点のフリーランスITエンジニア向けに、プログラミング言語ごとの平均月額単価TOP10を紹介する。
表面だけをなぞるのではなく、その背景にある技術的・社会的要因も読み解いていく。
単価ランキングTOP10【2025年版】
順位 | 言語 | 平均月額単価(万円) | 特徴 |
---|---|---|---|
1 | TypeScript | 98.5 | フロントエンドとAIの交差点で存在感を拡大中 |
2 | Python | 98.3 | AIとデータサイエンスの双璧 |
3 | Ruby | 97.5 | 安定したWeb系需要、Railsは今も強い |
4 | Go | 95.0~87.0 | モダンサーバー構築、希少性が強み |
5 | Apex | 75.9 | Salesforce領域の専門特化 |
6 | Kotlin | 75.5 | Android開発の主軸 |
7 | Swift | 73.7 | Appleエコシステムに寄り添う設計 |
8 | Objective-C | 71.4 | iOSレガシーの記憶、今も脈打つ |
9 | Scala | 71.1 | 金融系の影の主役、大規模処理に適応 |
10 | CSS3 | 70.2 | フロントエンド職人の必需品 |
1位:TypeScript|98.5万円
JavaScriptの進化形にして、現代Web開発の旗印。
フロントエンド開発においてReactやVueといったフレームワークが浸透する中で、静的型付けの恩恵を受けられるTypeScriptは一気に主流へ。
さらに生成AIとのフロントエンド連携、Jamstack構成、Node.jsとのシームレスな統合が後押しし、単価は頂点に達した。
企業が「保守性」と「開発スピード」の両立を求めたとき、TypeScriptが最適解となることが多い。
2位:Python|98.3万円
AIとデータの両輪を担う汎用スクリプト。
AI、機械学習、データ分析――すべての中心にPythonがある。
PyTorchやTensorFlowの存在に加え、PandasやNumPyなどの豊富なライブラリ群が現場の信頼を勝ち得ている。
特筆すべきは、「簡単に始められる」だけで終わらず、プロダクション環境にも耐えるスケーラビリティを持っている点。
初心者から研究者、データサイエンティストまで、多様な層に支持される理由がそこにある。
3位:Ruby|97.5万円
Railsは死なず。日本発の開発文化が守る地位。
Web系ベンチャーを中心に、Ruby on Railsは依然として愛用されている。
その理由は、開発の高速性とメンテナンス性、そして何より「Rails文化」と呼ばれる思想にある。
コードの美しさや開発体験の心地よさを追求する姿勢が、職人的エンジニアの心を掴んで離さない。
その結果、一定以上のスキルがあるRubyエンジニアには、今も高額案件が集中している。
4位:Go|87.0~95.0万円
軽さと強さ、両立する近代兵器。
Google製言語として登場したGo(Golang)は、Kubernetes、Docker、gRPCなど、クラウドネイティブ領域で必須とも言える存在に。
処理の高速性、スレッド管理の洗練、そして書きやすさ。これらが組み合わさり、サーバーサイド開発では独自の地位を築いている。
経験者がまだ少ないこともあり、希少価値による単価上昇が顕著となっている。
5位:Apex|75.9万円
Salesforce王国のネイティブスクリプト。
ApexはSalesforce環境で使われる専用言語で、一般的な用途では見かけないが、企業向けCRM/ERP開発の現場では極めて重要な位置づけ。
日本でもSalesforce導入が進み、Apexエンジニアの需要は急上昇中。
しかし、習得者が限られるために人材は枯渇しがち。その結果、高単価案件が継続的に発生している。
6位:Kotlin|75.5万円
Androidの新たな旗手。
Googleが公式サポートを発表して以来、Android開発のメインストリームとなったKotlin。
Javaの冗長さを排し、モダンで安全な文法を取り入れた言語設計が支持されている。
Android領域での案件は根強く、加えてSpring Bootとの親和性も高いため、バックエンド開発への応用も広がっている。
7位:Swift|73.7万円
iOSという庭園の専属庭師。
Appleの公式開発言語であるSwiftは、iOSやmacOS向けアプリ開発には不可欠。
最近では、SwiftUIを使ったUI開発の需要も増加し、モバイルファーストな企業にとってはまさに即戦力。
ユーザー体験に直結するアプリの品質は、エンジニアの腕に左右される。そのため、一定水準を超えるSwiftエンジニアは報酬も高水準を保ち続ける。
8位:Objective-C|71.4万円
消えゆく遺産か、それとも堅牢な遺構か。
Swiftに役割を譲りながらも、Objective-CはiOS黎明期から培われた資産のメンテナンスに欠かせない存在。
今も多くの企業アプリがObjective-Cベースで動いており、その改修・運用案件は継続中。
「読める」だけではなく「手が動く」エンジニアが少ないため、希少価値が単価に反映されている。
9位:Scala|71.1万円
関数型の知性、金融の背骨。
関数型言語としての特性を持ちつつ、JVM上で動作するScalaは、Javaと同等の信頼性を保ちながらも、より高機能な抽象化を可能にする。
金融系や広告系の大規模データ処理案件での需要が高く、Sparkとの組み合わせによるデータパイプライン構築でも活用されている。
「難しいが高単価」の代表格だ。
10位:CSS3|70.2万円
スタイルの極致、見えない技術。
CSSは「ただの装飾言語」ではない。
現代のWeb UIにおいて、CSS3はコンポーネント設計、アニメーション、レスポンシブデザイン、アクセシビリティ対応など多層的な役割を担っている。
特にSassやPostCSS、Tailwind CSSといったメタフレームワークとの併用によって、単価も上昇傾向。
美的感覚と技術力を併せ持つ人材が少ないため、単価に反映されやすい。
まとめ
単価が高い=難易度が高い、とは限らない。
「希少性」「用途の緊急性」「エコシステムとの相性」など、複雑に絡み合う要素が言語の市場価値を左右する。
このランキングを、単なる順位表ではなく「今後のキャリアを考える羅針盤」として活用してほしい。
何を学ぶかに迷うより、どんな未来を築きたいかを考える。そこから逆算する選択こそが、技術者としての生き方を決めていく。
参考リンク
- 【2025年版】最も稼げる言語ランキング(HiPro Tech)
- フリーランスエンジニア向け言語別単価相場(Freedash)
- 2025年IT・Web職市場動向レポート(パーソルキャリア)
- フリーランス案件相場ガイド(レバテックフリーランス)
- Ruby市場の最新動向(CodeZine)
- Scalaの需要と将来性(Relance)
- CSS3などフロントエンド特化スキルの評価(プログラミング副業ガイド)
- 今後有望なプログラミング言語予測(Meglio Futuro)
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