はじめに
誰もがスマートフォンを手にし、好きなときに好きな情報へアクセスできる時代になった。
ニュース、SNS、ブログ、動画——あらゆる情報が瞬時に届くこの社会は、一見とても便利に思える。
だが、情報の受け取り方を誤ると、逆に自分を狭い世界に閉じ込めてしまう危険性がある。
この記事では、ITシステム開発の現場に身を置く筆者の視点から、情報化社会を生きる上で重要だと感じている「確証バイアス」とその対処について解説する。
読んだその日から実践できる心構えを紹介するので、ぜひ参考にしてほしい。
情報社会の落とし穴:「確証バイアス」とは?
情報社会において最も気をつけたいのが、「確証バイアス」と呼ばれる心理的傾向だ。
これは、人が自身の考えや先入観を肯定する情報ばかりを集めてしまう性質のこと。
たとえば、ある商品が良いと思っていれば、良いレビューばかりを見て「やっぱりこれだ」と納得してしまい、悪い評価や欠点を無視してしまうような状態がそれに当たる。
このバイアスは無意識に働くことが多く、誰もが陥りやすい。
人間の本能に近い部分でもあるため、完全に避けることは難しい。
だが、偏りが強すぎると、偏見や差別、誤情報の拡散といった深刻な問題にも繋がる。
自分の「偏り」を自覚することが第一歩
無理にすべての情報に触れる必要はない。
ただし、「自分がどんな情報に惹かれやすいか」「どういう視点で物事を見がちか」といった、自身の傾向を理解することは重要だ。
たとえば、自分が特定のニュースサイトばかり見ていると気づいたら、たまには反対の立場から書かれた記事を読んでみる。それだけでも、見える世界は少し広がる。
情報収集の際には、以下のような点を意識すると良い。
- 一つの情報源に頼らない
- 自分と異なる意見にも耳を傾けてみる
- 感情的な反応が強い情報には、一歩引いて距離を取る
- 「これは自分の先入観による判断かもしれない」と立ち止まって考える
こうした姿勢が、情報との向き合い方に余白と深さを与える。
まとめ
情報化社会は、正しく使えば非常に強力なツールとなる。
しかし、無自覚に使えば、自分自身を縛る鎖にもなりかねない。
確証バイアスを完全に取り除くことはできないが、「自分もその影響を受けているかもしれない」と意識するだけでも、情報の受け取り方は大きく変わる。
情報は選べる時代になった。
だからこそ、「何を選び、何を信じるか」について、自分なりの軸を持つことが、これからの時代を生きるうえでの大切な心得だ。
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