はじめに
AIや機械学習の進化に伴い、「強化学習」も重要なトピックとして注目されている。
G検定でも頻出のテーマの一つであり、特にDQN(Deep Q Network)は知っておきたい代表的なアルゴリズムだ。
今回は、G検定の過去問を題材にしながら、DQNの基礎をわかりやすく解説する。
DQNとは何か?
DQNは、「Q学習(Q-learning)」という強化学習アルゴリズムにディープラーニングを組み合わせた手法である。
特に、状態空間が大きくなるとQテーブルを保持するのが困難になるため、DQNではニューラルネットワークを使ってQ関数を近似している。
以下の図は、従来のQ学習とDQNの違いを簡単に表したものである。
| 手法 | 特徴 |
|---|---|
| Q学習 | 状態×行動の組み合わせごとにQ値をテーブルで保持 |
| DQN | 状態をニューラルネットに入力し、Q値を出力する |
問題その1
実際にG検定で出題された問題を見てみよう。
DQN(Deep Q Network)に関する説明として、最も適切な選択肢を選べ。
選択肢
- Facebookが開発したアルゴリズム
- Q学習にディープラーニングを組み合わせたアルゴリズム
- 画像キャプションを生成するアルゴリズム
- ILSVRCの優勝チームが用いていたアルゴリズム
正解は「2. Q学習にディープラーニングを組み合わせたアルゴリズム」
なぜこの選択肢が正解なのか?
DQNは、DeepMind社が開発したアルゴリズムで、Q学習の限界を克服するために生まれた。
特に、強化学習の中で「高次元の状態空間」を扱う際、Qテーブルを用いた従来手法では破綻する。
DQNでは、状態を画像やベクトルのような形式でニューラルネットワークに入力し、最適な行動を選ぶ。
以下の特徴がポイントとなる。
- ニューラルネットワークを用いてQ値を出力
- Atariのような画像ベースのゲームでも動作可能
- 経験再生(Experience Replay)やターゲットネットワークを活用
他の選択肢はなぜ間違っているのか?
| 選択肢 | 解説 | 誤っている理由 |
|---|---|---|
| 1. Facebookが開発したアルゴリズム | FacebookはPyTorchなどで知られるが、DQNはDeepMindが開発した | 開発元が異なる |
| 3. 画像キャプションを生成するアルゴリズム | Image CaptioningにはCNN+RNNなどが用いられる | 用途が異なる |
| 4. ILSVRCの優勝チームが用いていたアルゴリズム | ILSVRCは画像認識コンペであり、CNNが主流 | タスクが異なる(分類 vs 強化学習) |
選択肢2だけが、DQNの本質を正しく捉えているといえる。
DQNの活用例
DQNは理論だけでなく、実用性も非常に高い。以下のような領域で活躍している。
1. ゲームAI
Atariゲームで人間を超えるスコアを出したことで有名。
画面をそのまま状態として扱い、報酬を最大化する行動を学習する。
2. ロボット制御
ロボットが障害物を避けながら目的地にたどり着くような制御問題にも適用されている。
3. 自動運転
シミュレーター環境などで、車両のアクセル・ブレーキ・ハンドル操作を学習するアルゴリズムとしても利用される。
PythonでのDQN簡易実装(概要)
ライブラリ「Stable-Baselines3」を使えば、DQNはPythonで簡単に試すことができる。
from stable_baselines3 import DQN
from stable_baselines3.common.env_util import make_vec_env
env = make_vec_env('CartPole-v1', n_envs=1)
model = DQN("MlpPolicy", env, verbose=1)
model.learn(total_timesteps=10000)
このコードでは、CartPoleというバランス制御タスクでDQNを訓練している。
まとめ
DQNは、強化学習とディープラーニングを融合した代表的なアルゴリズムの一つであり、G検定でもよく問われる内容だ。
重要ポイントをおさらいしよう。
✅ DQNとは → Q学習にディープラーニングを組み合わせた手法
✅ 正しい選択肢 → 「Q学習にディープラーニングを組み合わせたアルゴリズム」
✅ 他の選択肢が不正解な理由 → 開発元、用途、対象タスクが異なる
✅ 実務応用 → ゲームAI、ロボット、自動運転など幅広い
G検定対策としてはもちろん、実際の開発でも活きる知識なので、確実に理解しておきたい。

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