はじめに
本問では、法律の分類、賃貸借契約における義務、対抗要件、借地借家法の適用についての正しい知識が問われている。それぞれの選択肢を詳しく解説しながら、正解を導いていこう。
第9問 9-1:法律の分類
ア.私法と公法の分類
【問題文】
法律は,法による規律を受ける者が誰であるか によって,[ア]と公法とに分類される。
【解説】
法は、私人間の関係を規律する「私法」と、国家や地方公共団体に関する「公法」に分類される。
私法には、民法や商法が含まれる。
▶ 正解:⑧ 私法
イ.特別法
【問題文】
一般法と、適用対象が限定される法律である[イ]とに分類することができる。
【解説】
特定の事柄や対象に限定される法律は「特別法」と呼ばれる。
例:商法は民法の特別法。
▶ 正解:⑮ 特別法
ウ.実体法
【問題文】
権利義務など法律関係の内容を定める法律を[ウ]という。
【解説】
権利義務の内容を定める法律は「実体法」であり、それを実現する手続きを定める法律は「手続法」。
▶ 正解:⑩ 実体法
エ.強行法規
【問題文】
契約当事者が法律の規定と異なる内容の取決めをしてもその効力を生じないものを[エ]という。
【解説】
当事者の意思に関係なく適用される法律の規定は「強行法規」と呼ばれる。
例:労働基準法の最低賃金規定。
▶ 正解:⑥ 強行法規
オ.任意法規
【問題文】
当事者が異なる定めをするなど、当事者の意思によって適用が排除されるものを[オ]という。
【解説】
当事者の意思により異なる定めが可能な法律の規定は「任意法規」と呼ばれる。
例:売買契約の解除条件。
▶ 正解:② 任意法規
第9問 9-2:賃貸借契約
ア.必要費
【問題文】
目的物の保存に通常必要な費用を[ア]という。
【解説】
賃借人が目的物を維持するためにかかった費用を「必要費」と呼び、賃貸人に請求できる。
▶ 正解:⑥ 必要費
イ.原状回復義務
【問題文】
賃借物の損耗や損傷を復旧する義務を[イ]という。
【解説】
賃借人は、契約終了時に、通常の使用損耗を除き原状回復する義務がある。
▶ 正解:⑪ 原状回復義務
ウ.登記
【問題文】
民法上、不動産の賃借権の対抗要件は[ウ]である。
【解説】
不動産の賃借権の対抗要件は「登記」が必要(民法605条)。
借地借家法では、建物の存在が対抗要件となる。
▶ 正解:② 登記
エ.引渡し
【問題文】
借地借家法上、建物の[エ]が借家権の対抗要件である。
【解説】
借地借家法では、借家権を第三者に対抗するには「建物の引渡し」が必要(借地借家法31条)。
▶ 正解:⑦ 引渡し
オ.正当事由
【問題文】
賃貸人に[オ]があると認められる場合でなければ、賃貸人の側から契約の更新を拒絶できない。
【解説】
借地借家法では、賃貸人が更新を拒絶するには、「正当事由」が必要。
▶ 正解:⑬ 正当事由
まとめ
設問 | 正解 | 解説 |
---|---|---|
9-1 ア | ⑧ 私法 | 私人間の関係を規律する |
9-1 イ | ⑮ 特別法 | 一般法の中で特定の対象に限定される |
9-1 ウ | ⑩ 実体法 | 権利義務の内容を定める |
9-1 エ | ⑥ 強行法規 | 当事者が変更できない規定 |
9-1 オ | ② 任意法規 | 当事者の意思で変更できる規定 |
9-2 ア | ⑥ 必要費 | 目的物の維持に必要な費用 |
9-2 イ | ⑪ 原状回復義務 | 契約終了時の修繕義務 |
9-2 ウ | ② 登記 | 民法上の賃借権の対抗要件 |
9-2 エ | ⑦ 引渡し | 借家権の対抗要件 |
9-2 オ | ⑬ 正当事由 | 賃貸人が更新拒絶するための要件 |
この問題では、法律の分類(私法・公法・特別法・実体法・強行法規)や、賃貸借契約の義務(必要費・原状回復義務・対抗要件・正当事由)が問われている。
特に、「強行法規と任意法規の違い」「借地借家法の保護規定」「民法と借地借家法の対抗要件の違い」を理解しておくと、試験や実務で役立つだろう。
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