【ビジネス実務法務検定試験3級】第48回試験 第5問の解説

ビジ法対策

はじめに

本問では、物権変動の対抗要件、不動産登記、債権の消滅原因(弁済・代物弁済・供託・免除)について問われている。各選択肢について詳しく解説する。


スポンサーリンク
スポンサーリンク

問題 第5問

次の文中の[ ]の部分に,後記の語群から最も適切な語句を選び,解答用紙の所定欄にその番号をマークしなさい。

5-1:物権変動と不動産登記

5-1:問題文

民法上,物権が設定されたり,譲渡等により移転される場合,その効力は,原則として,当事者間の[ア]のみによって生じる。
そして,物権が譲渡された場合に,法律上,その譲渡の効力を当事者以外の第三者に主張するために備えなければならない要件を[イ]という。
[イ]は,民法上,譲渡の目的物が動産か不動産かによって異なる。すなわち,民法上,動産の譲渡の[イ]は引渡しであるのに対し,不動産の譲渡の[イ]は登記である。
不動産の譲渡の[イ]である登記は,[ウ]という電磁データとして記録され,[ウ]を記録した磁気ディスクを登記簿という。
不動産登記簿は,土地および建物のそれぞれについて別個に備えられる。不動産登記簿における[ウ]は,土地または建物を特定するための事項が記録される[エ]と,所有権または所有権以外の権利に関する事項が記録される[オ]に区分されており,[オ]はさらに甲区と乙区に区分されている。

5-1:語群

① 登記記録 ② 取引台帳
③ 対価の支払い ④ 現在事項部
⑤ 契約書の作成 ⑥ 表題部
⑦ 取引部 ⑧ 対抗要件
⑨ 全部事項部 ⑩ 効力要件
⑪ 権利部 ⑫ 共通部
⑬ 執行記録 ⑭ 成立要件
⑮ 意思表示


ア.物権の効力

民法上,物権が設定されたり,譲渡等により移転される場合,その効力は,原則として,当事者間の[ア]のみによって生じる。

【解説】

物権変動は、当事者間では意思表示のみによって効力が生じる(民法177条)。ただし、第三者に対抗するには登記や引渡しが必要。

▶ 正解:⑮ 意思表示


イ.物権変動の対抗要件

物権が譲渡された場合に、法律上、その譲渡の効力を当事者以外の第三者に主張するために備えなければならない要件を[イ]という。

【解説】

第三者に対して物権変動の効力を主張するために必要な要件は「対抗要件」と呼ばれる。

▶ 正解:⑧ 対抗要件


ウ.登記記録

不動産の譲渡の[イ]である登記は,[ウ]という電磁データとして記録され,[ウ]を記録した磁気ディスクを登記簿という。

【解説】

登記は電磁的記録として管理されており、それを指す用語は「登記記録」。

▶ 正解:① 登記記録


エ.不動産登記の構成

不動産登記簿における[ウ]は,土地または建物を特定するための事項が記録される[エ]と,所有権または所有権以外の権利に関する事項が記録される[オ]に区分されている。

【解説】

不動産登記簿は「表題部」と「権利部」に区分される。表題部には土地や建物を特定する情報が記載される。

▶ 正解:⑥ 表題部


オ.権利部の構成

[オ]はさらに甲区と乙区に区分されている。

【解説】

権利部」は甲区と乙区に分かれており、甲区には所有権に関する事項、乙区には抵当権などの所有権以外の権利が記録される。

▶ 正解:⑪ 権利部


5-2:債権の消滅

5-2:問題文

契約等により有効に成立した債権は,様々な事由により消滅する。
まず,債権は,その給付内容が実現することによって消滅する。給付内容実現による債権の消滅事由の1つとして[ア]が挙げられる。[ア]とは,債務者が債務の内容である給付を実現する行為をいう。[ア]の提供は,契約の内容などに照らし,その本旨に従って現実にしなければならない。
債務者は,自己の債務について[ア]をした場合,債権者に対し,[ア]と引換えに[イ]の交付を請求することができる。[イ]は,一般に領収証とも呼ばれ,債権者が債務の[ア]を受けたことを記載した文書である。
また,[ア]のほかに,給付内容実現による債権の消滅事由として[ウ]や[エ]がある。このうち,[ウ]は,債権者と弁済者との契約により,本来の給付に代えて他の給付をすることによって債権を消滅させることをいう。そして,債務者は,[ア]の提供をした場合において債権者がその受領を拒んだとき,債権者が[ア]を受領することができないとき,または,債務者が過失なくして債権者を確知することができないときには,所定の手続により[ア]の目的物を寄託して債務を免れることができる。この制度を[エ]という。
次に,給付内容を実現する必要がなくなることによっても,債権は消滅する。例えば,債権者がその一方的意思表示により無償で債権を消滅させる[オ]や,相続などにより債権および債務が同一人に帰する混同などがこれに当たる。

5-2:語群

① 無効 ② 公正証書
③ 弁済 ④ 危険負担
⑤ 供託 ⑥ 消滅時効
⑦ 受取証書 ⑧ 援用
⑨ 合意解除 ⑩ 更改
⑪ 免除 ⑫ 執行証書
⑬ 債務引受 ⑭ 代物弁済
⑮ 債務不履行


ア.弁済

給付内容実現による債権の消滅事由の1つとして[ア]が挙げられる。

【解説】

債務者が契約に基づいて債務を履行する行為を「弁済」という。

▶ 正解:③ 弁済


イ.受取証書

債務者は,自己の債務について[ア]をした場合,債権者に対し,[ア]と引換えに[イ]の交付を請求することができる。

【解説】

債権者は弁済を受けた際に「受取証書」(領収書)を発行する。

▶ 正解:⑦ 受取証書


ウ.代物弁済

[ウ]は,債権者と弁済者との契約により,本来の給付に代えて他の給付をすることによって債権を消滅させることをいう。

【解説】

本来の弁済の代わりに別の給付をすることを「代物弁済」という。

▶ 正解:⑭ 代物弁済


エ.供託

債務者が債権者を確知できない場合には,所定の手続により[ア]の目的物を寄託して債務を免れることができる。この制度を[エ]という。

【解説】

債権者が受領を拒否した場合などに、公的機関に弁済を預ける制度を「供託」という。

▶ 正解:⑤ 供託


オ.免除

債権者がその一方的意思表示により無償で債権を消滅させる[オ]や,相続などにより債権および債務が同一人に帰する混同などがこれに当たる。

【解説】

債権者が一方的に債務を免除することを「免除」という。

▶ 正解:⑪ 免除


まとめ

設問 正解 解説
5-1 ア ⑮ 意思表示 物権変動は当事者間の意思表示で生じる
5-1 イ ⑧ 対抗要件 第三者に対抗するための要件
5-1 ウ ① 登記記録 不動産登記は電磁データで管理される
5-1 エ ⑥ 表題部 土地・建物の特定事項が記録される
5-1 オ ⑪ 権利部 所有権やその他の権利が記録される
5-2 ア ③ 弁済 債務の履行により債権が消滅する
5-2 イ ⑦ 受取証書 弁済を証明する書類
5-2 ウ ⑭ 代物弁済 他の給付で弁済すること
5-2 エ ⑤ 供託 債権者が受領を拒否した場合の制度
5-2 オ ⑪ 免除 債権者が一方的に債務を消滅させる

この問題では、物権変動の基本ルール、不動産登記、債権の消滅原因について問われている。特に、不動産登記や供託の知識は実務でも重要なため、しっかりと理解しておきたい。

コメント