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【ビジネス実務法務検定試験3級】第48回試験 第6問の解説

ビジ法対策

はじめに

本問では、契約法、特許法、消費者契約法、代理、留置権についての問題が出題されている。各選択肢を詳しく解説しながら、正誤を判断していこう。


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ア.契約に関する問題

【問題文】

契約に関する記述のうち、民法または商法の規定に照らして適切なものを選ぶ。

【解説】

  • a.正しい
    → 不可抗力であっても金銭債務の不履行は免責されない(民法419条)。金銭債務は「代替可能」なものであるため、災害などによる履行不能でも履行遅滞となり、損害賠償の対象となる。

  • b.誤り
    → 請負契約は発注者側からはいつでも解除可能(民法641条)が、請負人(B社)は原則として一方的に解除できない。

  • c.正しい
    → 寄託契約では、受託者(A社)は善良な管理者の注意義務を負う(民法657条)。

  • d.誤り
    → 委任契約において、受任者(B社)は、報酬の有無に関係なく善良な管理者の注意義務を負う(民法644条)。

▶ 正解:①(ac)


イ.特許法に関する問題

【問題文】

特許法に関する記述のうち、最も適切でないものを選ぶ。

【解説】

  • ① 正しい
    → 先願主義が適用され、最先に出願した者が特許を受ける(特許法39条1項)。

  • ② 正しい
    → 特許権の存続期間は、原則として特許出願の日から20年間(特許法67条1項)。

  • ③ 正しい
    → 特許権者は、侵害行為に対し「差止請求」「損害賠償請求」「信用回復措置請求」「不当利得返還請求」が可能(特許法100条、102条)。

  • ④ 誤り
    → 特許権者が専用実施権を設定すると、専用実施権者が特許発明を独占的に実施でき、特許権者自身は自由に実施できない。

▶ 正解:④


ウ.消費者契約法に関する問題

【問題文】

消費者契約法に関する記述のうち、最も適切なものを選ぶ。

【解説】

  • ① 誤り
    → 消費者契約法は、「商品販売」だけでなく、「役務提供」も対象(例:塾、ジム、携帯契約)。

  • ② 正しい
    → 消費者契約法上の「事業者」には、法人だけでなく「個人事業主」も含まれる(消費者契約法2条1項)。

  • ③ 誤り
    → 契約が取り消されると、事業者は受領した金銭を返還する義務を負う(消費者契約法4条)。

  • ④ 誤り
    → 不当な免責条項は無効になるが、契約全体が無効になるわけではない(消費者契約法8条)。

▶ 正解:②


エ.代理に関する問題

【問題文】

代理に関する記述のうち、最も適切なものを選ぶ。

【解説】

  • ① 正しい
    → 代理行為では、「本人のためにすること」を明示しないと、代理人自身の契約となる(民法100条)。

  • ② 正しい
    → 表見代理が成立するには、第三者(C社)が代理権を信じた正当な理由が必要(民法109条)。

  • ③ 誤り
    → C社がAに代理権がないことを知っていた場合は、Aに損害賠償を請求できない(民法117条)。

  • ④ 正しい
    → 無権代理の場合、C社はB社に追認を催告できる(民法113条)。

▶ 正解:②


オ.留置権に関する問題

【問題文】

A社が修理代金未払いのトラックを留置する場合に関する記述。

【解説】

  • a.誤り
    → 留置権が成立している場合、修理代金を受け取るまで引渡しを拒否できる(民法295条)。

  • b.正しい
    → 留置権がある場合でも、債権者(A社)が任意に引き渡したら留置権は消滅する(民法299条)。

  • c.誤り
    → 留置権者は、自己の裁量で物を売却して代金を回収することはできず、競売手続が必要(民法300条)。

  • d.正しい
    → 債務者(B社)が第三者(C社)に譲渡しても、留置権は主張可能(民法299条)。

▶ 正解:③(bd)


まとめ

設問 正解 解説
①(ac) 金銭債務は不可抗力で免責されない、寄託契約は善管注意義務がある
専用実施権を設定すると、特許権者は自由に実施できない
消費者契約法の「事業者」には個人事業主も含まれる
表見代理が成立するには、第三者が代理権を信じた正当な理由が必要
③(bd) 留置権は任意の引渡しで消滅、第三者にも対抗できる

この問題では、契約、代理、消費者保護、特許、留置権といった幅広い法分野が問われている。特に、「金銭債務は不可抗力でも免責されない」「無権代理の追認請求」「留置権の対抗要件」などは、実務でも重要な知識であるため、しっかりと理解しておこう。

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