はじめに

G検定では、AI技術そのものだけでなく、その周辺を取り巻く法律や社会的背景についての知識も問われる。中でも「不正競争防止法」は、データ利活用時代における必須の法律として押さえておきたい項目だ。

今回は、G検定の過去問を取り上げながら、「限定提供データ」とその関連法規についてわかりやすく解説する。

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問題文の確認

以下の文章を読み、(●)に最もよく当てはまる選択肢を選べ。

不正競争防止法等の改正によって、データの利活用を促進するための環境が整備される。主要な措置事項として、(●)などにより管理しつつ相手方を限定して提供するデータを不正取得するなどの行為を新たに不正競争行為に位置づけている。

正解は「2. 限定提供データ」

限定提供データとは、技術的手段や契約などによってアクセス制限され、かつ不特定多数に公開されない形で提供されるデータのこと。企業間での共同研究や業務提携において、第三者に知られたくないが共有は必要なデータがこれに該当する。

不正競争防止法では、こうしたデータの不正な取得・使用・開示を禁止し、法的保護を与えるよう改正が行われた。これは、AIやビッグデータを用いたビジネスの拡大に不可欠な土壌整備の一環として非常に重要なポイントである。

選択肢	内容	誤りの理由
1. 個人情報保護法	個人の氏名や住所など、特定の個人を識別できる情報の保護を定めた法律	問題文では「相手方を限定して提供するデータ」が対象であり、必ずしも個人情報ではない
3. 電気通信事業法	通信事業者の運用・安全確保などを定める法律	データの利活用や保護に直接関係しないため文脈にそぐわない
4. ID・パスワード	認証情報として用いられるもので、アクセス制限の一手段ではある	法律上の概念ではなく、選択肢として抽象的すぎる

限定提供データは、企業が持つ競争力の源泉でありながら、従来は法律上の保護が不十分だった領域だ。
そこで、2019年の不正競争防止法改正によって、以下のような行為が新たに「不正競争行為」として定義された。

この改正により、企業は安心してデータを外部と共有し、連携しながら研究開発を進めることが可能になった。

限定提供データは、研究開発やAIトレーニングの場面でも重要な意味を持つ。以下のようなケースが実務で見られる。

製造業や医療業界などでは、機密データを共有しながらAIアルゴリズムを開発する場面がある。このとき、データの外部流出を防ぎつつ効率的な連携を実現するために、限定提供データの法的保護が役立つ。

今後、データ流通市場が拡大する中で、「売り手」「買い手」双方が信頼できる環境が必要だ。限定提供データの保護は、この基盤のひとつとされている。

G検定では、技術だけでなく、法律や倫理に関する理解も問われる。
「限定提供データ」はその代表例として、現代のデータ駆動型社会において極めて重要な概念だ。

✅ 不正競争防止法は、限定提供データを法的に保護する改正がなされている
✅ 単にアクセス制限があるだけでなく、「不特定多数への公開がされていないこと」が重要
✅ 実務でも研究開発やビジネス連携の場で活用が広がっている

このような背景まで理解しておけば、G検定合格にぐっと近づくだけでなく、AI人材としての応用力も高まる。次の学習ステップでは、AI倫理や個人情報保護にも目を向けておこう。