「白色化(whitening)」とは?前処理でなぜ使われるのか徹底解説【G検定対策】

G検定対策

はじめに

G検定では、機械学習の基本概念に加え、実務に直結する前処理の知識も頻出する。
今回取り上げるのは、「白色化(ホワイトニング)」という前処理の手法についてだ。

以下のような問題が実際に出題されている。


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問題を見てみよう

以下の文章を読み、(●)に最もよく当てはまる選択肢を選べ。

機械学習の前処理の手法として、訓練データに対しデータの各成分間の相関を無くすような線形変換を行うことを(●)という。

  1. 多層化
  2. 多次元化
  3. グレースケール化
  4. 白色化

正解は「4. 白色化

その理由を具体的に解説していこう。


白色化とは何か?

白色化(whitening)とは、データの相関を取り除き、各変数の分散を1にするような線形変換を指す。
要するに、各特徴量を独立にし、スケールも均一に整える処理だ。
主に主成分分析(PCA)やZCA変換などの手法とセットで行われることが多い。

この変換により、以下のような効果が期待できる:

  • 特徴量同士の冗長性が減少する
  • モデル学習の収束が早くなる
  • 過学習のリスクを軽減できる場合がある

他の選択肢はなぜ不正解なのか?

選択肢の中には、聞き慣れた言葉もあるが、文中の説明に合致するのは「白色化」だけだ。
それぞれの選択肢について、誤りの理由を確認しておこう。

選択肢 説明 なぜ不正解か
多層化 ニューラルネットワークなどで層を増やす設計手法 相関除去や線形変換とは無関係
多次元化 特徴量の数を増やす、あるいは次元を追加する処理 相関を除去するどころか、逆に増やす可能性がある
グレースケール化 カラー画像を白黒に変換する画像処理 機械学習の特徴量相関とは関係がない
白色化 各成分間の相関を無くし、分散を統一する線形変換 文中の「相関を無くす線形変換」に完全一致

このように、設問の説明と一致する処理は「白色化」しか存在しない。


実務における白色化の具体例

1. 画像認識における入力データの正規化

画像のピクセル情報は隣り合う画素同士に強い相関があることが多い。
白色化を施すことで、入力データがより独立に近い状態となり、CNNなどの性能が安定しやすくなる。

2. 音声認識におけるMFCCの前処理

音声の特徴量であるMFCC(メル周波数ケプストラム係数)に対して白色化を行うことで、ノイズの影響を減らし、モデルの学習が安定する。


Pythonで白色化を実装する方法

実装も難しくない。例えばscikit-learnのPCAを使えば、以下のように白色化できる。

from sklearn.decomposition import PCA
from sklearn.preprocessing import StandardScaler
import numpy as np

# ダミーデータ
X = np.array([[1, 2], [3, 4], [5, 6]])

# 標準化
scaler = StandardScaler()
X_std = scaler.fit_transform(X)

# 白色化(whiten=Trueを指定)
pca = PCA(whiten=True)
X_white = pca.fit_transform(X_std)

print(X_white)

このコードでは、PCAを使って次元削減と同時に白色化を行っている。


まとめ

G検定では、アルゴリズムそのものだけでなく、前処理の意味と役割について問われることが多い。
白色化は、特に画像や音声といった高次元データを扱う場面で、前処理の基本とされる技術の一つだ。

✅ 白色化=相関除去+分散統一の線形変換
✅ 「多層化」「グレースケール化」などとは明確に目的が異なる
✅ 実務でもCNNや音声認識の入力処理で重要な役割を果たす

G検定の対策として、言葉だけでなくなぜ使うのか」「どこで使うのかを理解しておくことが合格への近道だ。

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