はじめに

G検定では、AIの技術そのものだけでなく、その発展にまつわる歴史的なトピックも出題される傾向がある。
過去には「チェス世界チャンピオンを破ったAIはどれか？」という問題が登場しているが、これはAIの進化を語るうえで象徴的な出来事のひとつだ。

今回は、G検定の過去問を取り上げ、歴史的背景を含めて丁寧に解説していく。知識を定着させながら、選択肢の違いもしっかり把握しておきたい。

Contents

問題

1997年、チェス世界チャンピオンを破ったIBMの開発したチェスAIを選べ。

正解は「2. ディープブルー」

ディープブルー（Deep Blue）は、IBMが開発したチェス専用のスーパーコンピュータである。
1997年、当時のチェス世界チャンピオンであるガルリ・カスパロフに勝利したことで、一躍その名が世界に知れ渡った。

この勝利は「人間 vs. コンピュータ」の歴史的な転換点とされ、AIが高度な戦略ゲームにおいて人間を凌駕できる可能性を初めて示した事例となった。

選択肢を見ていくと、どれも“ディープ”という語が含まれているため、うっかり混同しやすい。だが、それぞれ全く異なる存在だ。以下に違いを整理しておく。

選択肢	説明	関連性
ディープソート	一般的なAIやチェス用コンピュータには存在しない名称。おそらく誤答用の選択肢。	無関係
ディープブルー	1997年にカスパロフを破ったIBM製チェス専用AI。高速な探索と評価関数を駆使した。	正解
ディープニューラルネットワーク	現代の深層学習の核となる技術。画像認識や音声認識などで活用されている。	技術用語だが、チェスAIとは無関係
ディープマインド	英Google傘下のAI企業。囲碁AI「AlphaGo」で著名。	AI関連企業だが、チェスではない

つまり、「チェス」「1997年」「IBM」というキーワードに対応するのはディープブルーのみであり、他の選択肢は設定や時代背景が異なる。

G検定では、「AIが何を達成してきたか」という歴史的トピックが問われることがある。
とくに、ゲーム分野での勝利はAIの技術進展を象徴するイベントとして注目されている。

AIとゲームの関係を時系列で追うと、以下のような流れになる。

このように、AIはゲームという“知的挑戦”を通じて進化してきた。チェス、囲碁、RTS（リアルタイムストラテジー）ゲーム…分野ごとに必要な能力は異なるが、いずれもAIの能力を試す舞台として機能してきた。

ディープブルーは、現在の深層学習を使っていたわけではない。主に以下の2つの要素によって構成されていた。

単純な「力技」に思えるかもしれないが、1秒間に2億手以上の局面を評価できる処理能力は、当時としては驚異的だった。

G検定においては、AI技術そのものに加え、歴史的なブレイクスルーも理解しておく必要がある。
1997年にディープブルーがチェス世界王者を破った出来事は、その代表例といえる。

✅ 正解は「ディープブルー」
✅ IBMが開発し、チェス専用のAIとして1997年に歴史的勝利
✅ 他の選択肢は似て非なるものであり、用語・背景の違いを理解しておくことが重要

このように、AIの進化の軌跡をたどることで、試験対策だけでなく、AI分野に対する理解も深めることができる。