はじめに
G検定では、ディープラーニングに限らず、幅広いAI関連技術についての理解が求められる。
その中でも、「強化学習」は頻出分野のひとつだ。
一見すると数式や理論が難解に見えるかもしれないが、出題されるのは基本的な概念の理解を問う内容が中心である。
今回は、実際の過去問を通して「強化学習に関する適切・不適切な手法の見極め方」を学んでいこう。
問題:強化学習で用いられる手法として、不適切なものを選べ
強化学習で用いられる手法として、最も不適切な選択肢を選べ。
選択肢
- スキップグラム
- モンテカルロ法
- Q学習
- TD学習
正解は「1. スキップグラム」
この問題の正解は、「スキップグラム」だ。
理由は非常にシンプルで、この手法は強化学習ではなく、自然言語処理(NLP)の分野で用いられている技術だからだ。
各選択肢の解説
選択肢ごとに、どのような技術であり、なぜ強化学習において適切または不適切なのかを見ていこう。
| 手法名 | 概要 | 強化学習との関連性 |
|---|---|---|
| スキップグラム | Word2Vecで用いられる単語のベクトル表現手法。ある単語から周辺語を予測するモデル構造。 | 自然言語処理における単語埋め込みの技術であり、強化学習とは無関係 |
| モンテカルロ法 | エピソード全体の報酬をもとに価値関数を更新する。サンプルベースの評価手法。 | 強化学習で用いられる代表的な手法 |
| Q学習 | 行動価値関数(Q関数)を学習し、最適な方策を得る。オフポリシーな学習手法。 | 強化学習の中核をなす重要手法 |
| TD学習(時相差学習) | 現在の報酬と次の状態の推定値から価値関数を更新する手法。 | 強化学習における学習アルゴリズムの代表格 |
なぜ「スキップグラム」が不適切なのか?
スキップグラムは、Googleが開発したWord2Vecにおける手法のひとつで、入力単語からその周辺にある単語を予測するタスクを通して、語彙の分散表現(ベクトル表現)を学習する。
例:
「猫がソファで寝ている」という文において、「猫」が入力語である場合、「ソファ」「寝ている」などが予測対象になる。
このような手法は自然言語処理の文脈において利用されるため、エージェントが報酬を得ながら最適な行動方策を学習する強化学習の枠組みとは一致しない。
関連用語の補足
初学者にとっては、Q学習やTD学習などの類似用語に混乱するケースも少なくない。
ここでそれぞれの特徴を簡単に整理しておこう。
Q学習(Q-Learning)
- 行動と状態のペアに対する価値(Q値)を逐次更新
- 最終的にQ値が最大になるような行動を選択
- 環境モデルを必要とせず、方策も最適化される(オフポリシー)
TD学習(Temporal Difference)
- 将来の報酬を推定し、現時点での価値を段階的に修正
- モデルフリー学習であり、リアルタイムでの更新が可能
モンテカルロ法
- エピソード単位で評価を行い、平均報酬で価値を更新
- 長期的な報酬を正確に反映できるが、サンプル数が多く必要になる
類似したG検定出題パターンに備えるには?
G検定では、「用語の関連性」や「用途の違い」を問う問題が頻出する。
今回のような問題では、単に用語を暗記するだけでなく、それがどの分野に属し、どのような目的で使われるのかまで理解しておくことが不可欠だ。
まとめ
強化学習に関するG検定の問題は、基礎概念さえ押さえていれば確実に正解できるものが多い。
今回の問題において重要だったポイントは以下の通り。
✅ スキップグラムは自然言語処理(NLP)の手法であり、強化学習とは無関係
✅ Q学習・TD学習・モンテカルロ法は、いずれも強化学習の主要な学習手法
✅ 用語を分野ごとに分類して理解することが、選択肢を見極める鍵になる
G検定合格を目指すなら、単なる暗記で終わらせず、各手法の「目的」と「利用分野」をセットで把握しておきたい。


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