はじめに
Linuxの開発環境をWindows上で手軽に扱いたい。そう考える開発者は少なくないはず。
WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)を使えば、仮想マシンのような手間をかけずに、LinuxのパワーをWindowsに取り込むことができる。
本記事では、WSL2を活用してUbuntu 22.04 LTSを導入する手順をまとめた。設定の要点を押さえて、再現性の高い環境構築を目指す。
実施環境
ツール | バージョン | 備考 |
---|---|---|
Ubuntu | 22.04 LTS | OS(Linux) |
WSL | 2 | Windows Subsystem for Linux 2 |
WSL2の導入手順
Windows機能の有効化
最初に、WSL2を使うための前提設定を済ませておく。
- Linux用サブシステムを有効にする
「Windowsの機能の有効化または無効化」を開き、「Linux 用 Windows サブシステム」にチェックを入れる。
コマンドで済ませたい場合は以下を実行。dism.exe /online /enable-feature /featurename:Microsoft-Windows-Subsystem-Linux /all /norestart
- 仮想マシンプラットフォームの有効化
同じく「仮想マシンプラットフォーム」も有効にする。dism.exe /online /enable-feature /featurename:VirtualMachinePlatform /all /norestart
- 再起動
設定反映のためにWindowsを再起動。shutdown /r
Ubuntuの導入手順
フォルダ作成
Ubuntuを格納するディレクトリを作る。
高速化の観点からCドライブなどWindows側のファイルシステムに作るのがおすすめ。
mkdir /mnt/c/Ubuntu
WSLのバージョン設定
既定のWSLバージョンを2に設定。
wsl --set-default-version 2
Ubuntuイメージのダウンロード
公式サイトから最新のUbuntu 22.04(Jammy Jellyfish)のイメージを取得。
curl -LO https://cloud-images.ubuntu.com/wsl/jammy/current/ubuntu-jammy-wsl-amd64-wsl.rootfs.tar.gz
Ubuntuをインポート
ダウンロードしたイメージを使い、Ubuntu環境をWSL2としてインポート。
wsl --import Ubuntu /mnt/c/Ubuntu ubuntu-jammy-wsl-amd64-wsl.rootfs.tar.gz --version 2
インストール確認
WSLのインストール状況とバージョンを確認。
wsl -l -v
Ubuntuの初期設定と稼働確認
起動
インストール済みのUbuntuを起動。
wsl -d Ubuntu
.bash_profileの調整
ログイン時のシェル初期化設定として.bashrc
を.bash_profile
から呼び出す。
echo "source ~/.bashrc" >> ~/.bash_profile
systemdの有効化
systemdを使うには、/etc/wsl.conf
を編集する必要がある。
ネットワーク名やユーザー名もここで設定。
sudo nano /etc/wsl.conf
設定例:
[boot]
systemd=true
[network]
hostname=UbuntuHost
[user]
default=ubuntu
[interop]
appendWindowsPath = false
hostname
やdefault
ユーザー名は任意で調整。- 記述ミスがあるとWSLが起動できなくなるため、編集内容は慎重に見直すこと。
補足:つまずきやすいポイント
- Windows Updateの状態確認
古いWindows 10では、WSL2に必要な要素が揃っていないことがある。
必要に応じて更新を行っておく。 -
ディスク容量の監視
WSLでUbuntuをインストールすると、意外とストレージを消費する。
使用状況を定期的にチェックし、不要なファイルは整理しておくとよい。
まとめ
WSL2を使えば、仮想環境を立ち上げるより手軽にLinuxの機能をWindowsに取り込める。
Ubuntu 22.04 LTSとの組み合わせなら、最新のツール群を活用でき、開発効率の向上も期待できる。
この手順を土台に、快適な開発ライフを構築してみてほしい。
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