基本情報技術者試験(令和6年)科目A 問16:コアコンピタンスとは何か?

FE対策

はじめに

企業が市場で競争に勝ち抜くためには、他社には真似できない強み(競争優位性)を持つことが重要 である。
その強みの中でも、特に長年の企業活動で蓄積され、模倣が困難な独自の能力やノウハウ を 「コアコンピタンス(Core Competence)」 と呼ぶ。

本記事では、基本情報技術者試験(令和6年)科目A 問16 の問題を通じて、コアコンピタンスの概念とその具体例 を解説する。


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基本情報技術者試験(科目A)問16の問題

試験問題

コアコンピタンスを説明したものはどれか。
ア. 経営活動における基本精神や行動指針
イ. 事業戦略の遂行によって達成すべき到達目標
ウ. 自社を取り巻く環境に関するビジネス上の機会と脅威
エ. 他社との競争優位の源泉となる経営資源及び企業能力


解答と解説

この問題の正解は 「エ. 他社との競争優位の源泉となる経営資源及び企業能力。」 である。では、それぞれの選択肢が何を意味するのか詳しく見ていこう。


1. コアコンピタンスとは?

コアコンピタンス(Core Competence)とは?

コアコンピタンスとは、企業が競争市場において他社との差別化を図るための、独自の強みとなる経営資源や企業能力のこと である。

コアコンピタンスの特徴

  1. 競合他社が容易に模倣できないこと
    • 長年の企業活動で培われたノウハウや独自技術であり、他社がすぐに真似できない。
  2. 顧客に対して高い価値を提供できること
    • 競争力のある製品・サービスを生み出し、市場において強みとなる。
  3. 複数の市場で活用できること
    • ある特定の市場だけでなく、複数の市場で事業展開できる。

コアコンピタンスの具体例

  • ホンダ(Honda):エンジン技術
    • バイク、自動車、発電機、船外機など、さまざまな製品に応用される。
  • トヨタ(Toyota):生産管理技術(トヨタ生産方式)
    • 効率的な生産プロセスを確立し、世界的な競争優位性を確保。
  • ソニー(Sony):小型化技術
    • 小型で高性能な製品(ウォークマン、カメラ、PlayStationなど)を生み出す。
  • アップル(Apple):デザインとエコシステム
    • ハードウェアとソフトウェアを一体化し、直感的で使いやすい製品を提供。

このように、コアコンピタンスは単なる技術やノウハウではなく、「競争優位を生む独自の強み」 であるため、正解は 「」 となる。


2. 各選択肢の説明

ア. 経営活動における基本精神や行動指針

経営活動における基本精神や行動指針

これは 「経営理念」 の説明であり、コアコンピタンスとは異なる。

経営理念とは?

  • 企業の価値観や行動指針を示すものであり、企業文化の根幹となる。
  • 例:「顧客第一主義」「環境に優しい製品づくりを推進」「社会貢献」など。

コアコンピタンスは 企業の競争優位の源泉となる具体的な能力や技術を指す ため、経営理念とは異なる。

したがって、「」は誤り である。


イ. 事業戦略の遂行によって達成すべき到達目標

事業戦略の遂行によって達成すべき到達目標

これは 「経営ビジョン」 の説明であり、コアコンピタンスとは異なる。

経営ビジョンとは?

  • 企業が長期的に目指すべき方向性や目標を示したもの。
  • 例:「2030年までに世界市場シェア10%を達成」「カーボンニュートラル実現」など。

コアコンピタンスは 企業の競争力を支える具体的な技術やノウハウ であり、ビジョンのような目標とは異なる。

したがって、「」は誤り である。


ウ. 自社を取り巻く環境に関するビジネス上の機会と脅威

自社を取り巻く環境に関するビジネス上の機会と脅威

これは 「外部環境要因」 の説明であり、コアコンピタンスとは異なる。

外部環境要因とは?

  • 企業のビジネス環境における「機会(チャンス)」や「脅威(リスク)」を分析する概念。
  • 例:
    • 機会(Opportunity):「市場の拡大」「新技術の発展」「法改正によるビジネスチャンス
    • 脅威(Threat):「競合企業の成長」「原材料費の高騰」「景気低迷

外部環境は 企業が持つコアコンピタンスとは異なり、市場の動向や外部の影響を考慮するもの である。

したがって、「」は誤り である。


3. コアコンピタンスと関連概念の違い

概念 説明
コアコンピタンス 企業の競争優位を生む独自の強み ホンダのエンジン技術、トヨタの生産管理技術
経営理念 企業の基本精神や行動指針 顧客第一主義」「環境に優しい経営
経営ビジョン 企業が長期的に目指す目標 2030年までに世界市場シェア10%を達成
外部環境要因 企業を取り巻く市場環境の分析 新技術の発展」「競合企業の成長

まとめ

今回の試験問題では、「コアコンピタンスの説明」として、
他社との競争優位の源泉となる経営資源及び企業能力」(エ) が正解だった。

ポイントの整理

✔ コアコンピタンスは、競争市場で他社との差別化を生む企業独自の強みである。
✔ 「競合が容易に模倣できない」「顧客価値が高い」「複数の市場で展開可能」な特徴を持つ。
✔ 経営理念・ビジョン・外部環境とは異なり、具体的な技術やノウハウを指す。

コアコンピタンスを活かすことで、企業は競争市場で長期的な成功を収めることができる。

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