はじめに
G検定では、ディープラーニングや機械学習の基礎概念に関する問題が頻繁に出題される。
中でも、「ニューラルネットワークの学習目的」や「損失関数(ロス関数)」に関する設問は理解しておくべきテーマのひとつだ。
本記事では、実際の過去問を取り上げながら、「ニューラルネットワークにおける学習目的」について要点を整理していく。
問題:次の文に当てはまる言葉はどれか?
以下の文章を読み、(●)に最もよく当てはまる選択肢を選べ。
ニューラルネットワークの学習の目的は(●)関数の値を可能な限り最小にするパラメータを探索することである。
選択肢
- 目的
- 伝達
- 活性化
- 損失
正解は 「4. 損失」
なぜ「損失関数」が正解なのか?
ニューラルネットワークでは、入力データに対して出力を予測し、その結果と正解との「ズレ(誤差)」を数値化する必要がある。
この「誤差」を表すのが 損失関数(Loss Function) であり、モデルがどれだけ正解から外れているかを評価する役割を担う。
学習とは、この損失関数の値を最小にするように、ネットワークの重みやバイアスといったパラメータを更新していくプロセスだ。
つまり、「損失関数の値をできる限り小さくすること」が学習の目的になる。
他の選択肢はなぜ誤りなのか?
G検定では、正解の知識だけでなく、なぜ他の選択肢が不正解なのかを明確にしておくことが重要だ。以下に各選択肢の違いを整理する。
| 選択肢 | 説明 | 誤っている理由 |
|---|---|---|
| 目的関数 | 一見、合っていそうに見えるが、「目的関数」はより広義の用語で、機械学習全般に使われる。ニューラルネットワークでは「損失関数」として具体的に定義されるため、ここでは不適切。 | |
| 伝達関数 | ニューロンの出力を次の層に伝える関数(主に活性化関数とセット)。学習目標とは無関係。 | |
| 活性化関数 | 非線形性を導入し、モデルの表現力を高めるために使われる関数。損失を最小化する目的には直接関与しない。 | |
| 損失関数 | 正解。学習において最小化すべき評価値。予測の誤差を表す。 |
代表的な損失関数の種類
試験では「損失関数」という言葉だけでなく、代表的な関数名についても出題される可能性がある。ここで簡単に整理しておこう。
| 損失関数名 | 用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| 平均二乗誤差(MSE) | 回帰問題 | 誤差を二乗して平均する。大きな誤差に敏感。 |
| 交差エントロピー誤差 | 分類問題(特に2クラス or 多クラス) | 確率的な出力と正解の差異を評価。分類問題では標準的。 |
| Hinge Loss | SVMやマージン分類器で利用 | マージンを超えた誤差にペナルティ。分類に特化。 |
G検定における対策ポイント
- 「学習=損失関数の最小化」であるという考えを明確に持つこと
- 「目的関数」と「損失関数」の違いを意識する
- 関連する用語(活性化関数、伝達関数など)との混同に注意する
実務への応用:損失関数の選定がモデル性能を左右する
損失関数は単なる試験用の用語ではない。
実際のAI開発でも、問題に適した損失関数を選ぶことがモデル性能に直結する。
例えば、以下のような使い分けが求められる。
- 売上予測などの数値予測 → 平均二乗誤差(MSE)
- 商品の人気カテゴリ分類などの多クラス分類 → ソフトマックス+交差エントロピー
- 類似画像検索などの特徴抽出系タスク → コントラスト損失やトリプレットロス
G検定を通して基礎を押さえておくことで、実務でも「なぜこの損失関数なのか?」と論理的に選定できるようになる。
まとめ
G検定では、ニューラルネットワークの学習目的に関する問題がよく出題される。
今回の過去問のように、「学習とは何を最小化することなのか?」という基本に立ち返ることが重要だ。
✅ ニューラルネットワークの学習目的は「損失関数の最小化」
✅ 「目的関数」や「活性化関数」など紛らわしい選択肢との違いを理解する
✅ 実務でも損失関数の選定はモデル精度に大きな影響を与える
G検定対策としても、機械学習の基礎理解としても、損失関数の役割はぜひ押さえておきたいポイントだ。


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