プラトーとは?機械学習における学習停滞の原因と対策【G検定対策】

G検定対策

はじめに

機械学習の学習過程において、突然モデルのパフォーマンスが向上しなくなる経験はないだろうか?
学習を進めているのに、損失関数の値が変わらず停滞し、最適化が進まない──そんな状況を「プラトー(Plateau)」と呼ぶ。
この概念はG検定でも頻出であり、試験対策だけでなく、実務でのモデル改善にも欠かせない知識だ。

今回は、G検定の問題をもとに、「プラトー」について詳しく解説していく。


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プラトーとは?

まずは、G検定の実際の問題を見てみよう。

問題

あるモデルに勾配降下法を適用すると、特定の次元においては最小値だが、別の次元から見ると最大値である箇所に陥ることがある。
こうした箇所は鞍点と呼ばれるが、学習を重ねても鞍点から抜け出せない状態を(●)という。

選択肢

  1. ドロップアウト
  2. 過学習
  3. プラトー
  4. 局所最適解

正解は「3. プラトー

プラトーとは、学習過程で損失関数の値が一定の範囲内で停滞し、勾配がほぼゼロになってしまう状態を指す。
この現象が起こると、モデルのパラメータ更新が進まなくなり、学習が停滞する。

では、なぜプラトーが発生するのか? その原因と対策を深掘りしていこう。


なぜプラトーが発生するのか?

1. 鞍点(Saddle Point)にハマる

問題文にもあるように、プラトーの一因として「鞍点(Saddle Point)」が挙げられる。

鞍点とは、ある次元では最小値をとるが、別の次元では最大値をとる点のこと。
イメージとしては「馬の鞍(くら)」のような形状で、そこに学習が引っかかってしまう状態だ。

鞍点にハマるとどうなる?

  • 勾配がほぼゼロになり、重みが更新されない
  • モデルの学習が進まなくなる
  • そのまま停滞し、最適な解に到達できない

2. 平坦な損失関数(Flat Region)

ニューラルネットワークの損失関数の形状は非常に複雑だ。
勾配降下法では、局所的に「平坦な領域(Flat Region)」に入り込んでしまうと、学習が止まることがある。

特に、
– シグモイド関数のような勾配消失が発生しやすい活性化関数
– 学習率が小さすぎる場合

これらの要因によって、損失関数の平坦な部分で勾配が小さくなり、パラメータが更新されなくなる。


プラトーの対策

では、プラトーに陥った場合、どのように対策すればよいのか?

1. 学習率の調整

学習率(Learning Rate)が小さすぎると、モデルの更新が微々たるものになり、プラトーを脱出しにくくなる。
学習率スケジューリング」を導入し、適応的に学習率を変化させるのが効果的だ。

  • Warmup(ウォームアップ): 学習率を最初に徐々に上げる
  • Annealing(アニーリング): 一定エポックごとに学習率を減衰させる
  • 学習率の周期的変更(Cyclic Learning Rate): 学習率を増減させながらトレーニングする

2. 最適化アルゴリズムの変更

勾配降下法(SGD)をそのまま使っていると、鞍点や平坦な領域に陥る可能性が高い。
そのため、以下のような最適化手法を試すのも有効だ。

  • Adam(Adaptive Moment Estimation): 学習率の調整を自動で行い、停滞を回避
  • RMSprop: 鞍点からの脱出を促進
  • Momentum付きSGD: 一定の慣性をもたせ、停滞せずに進む

3. バッチ正則化(Batch Normalization)の導入

深層学習では、層ごとのデータ分布が変化しやすく、それが勾配消失や停滞を引き起こす。
バッチ正則化(Batch Normalization, BN)を適用することで、層ごとのデータのスケールを一定にし、学習の安定性を向上させられる。

4. 活性化関数の見直し

シグモイド関数のように勾配消失を引き起こしやすい関数を使っている場合は、ReLU(Rectified Linear Unit)やその派生版(Leaky ReLU, SELUなど)に置き換えることで、プラトーの影響を軽減できる。


他の選択肢の誤り

G検定では、「なぜ他の選択肢が間違いなのか」を理解することも重要だ。

選択肢 説明 なぜ間違いか?
ドロップアウト ニューラルネットワークの過学習を防ぐために、ランダムにノードを無効化する技術 過学習防止の手法であり、プラトーとは関係ない
過学習 学習データに対して適応しすぎ、新しいデータに対して汎化性能が低下する現象 学習が進まないのではなく、過剰に適応してしまう現象
局所最適解 損失関数の局所的な最適解にハマり、グローバル最適解に到達できない状態 プラトーは「停滞」だが、局所最適解は「小さな山に登ってしまう」違いがある

まとめ

G検定の試験対策だけでなく、実際の機械学習プロジェクトにおいても「プラトー」を理解し、適切な対策を取ることが求められる。

試験対策のポイント

✅ プラトーとは? → 勾配降下法が停滞し、学習が進まなくなる現象
✅ 鞍点とは? → ある次元では最小値、別の次元では最大値となる箇所
✅ 対策方法 → 学習率調整、最適化手法の変更、バッチ正則化、ReLU活性化関数の利用

G検定の合格を目指すなら、こうした基礎知識をしっかり押さえておこう。
また、実際にモデルを訓練する際には、プラトーに陥っていないかをチェックし、適切な調整を行うことが成功への鍵となる。

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