はじめに
「プログラミング＝英語」そんな常識がある中、日本語でプログラミングできる言語が存在することを知っているだろうか？
「なでしこ」や「プロデル」といった日本語プログラミング言語は、初心者や教育向けに設計されている。しかし、実際の開発現場で使われることはほとんどない。
本記事では、なぜ日本語プログラミング言語は広まらないのか？その理由と今後の可能性について考察する。
日本語プログラミング言語の代表例
まず、日本語でコーディングできるプログラミング言語をいくつか紹介する。
1. なでしこ
日本語プログラミング言語の代表格。「○○を表示する」など、直感的な文法が特徴で、WebアプリやWindowsアプリ開発、IoTなど幅広く使える。
2. ひまわり
なでしこよりも日本語らしい文法を持つが、開発はすでに停止。
かつての日本語プログラミング言語ブームの一角を担ったが、現在はほぼ使われていない。
3. Dolittle（ドルフィル）
教育向けのオブジェクト指向プログラミング言語。
プログラミング初心者向けに作られたが、実用性という点では課題が多い。
4. プロデル
Windowsアプリ開発に特化した日本語プログラミング言語。
「なでしこ」に近いが、より業務向けの機能を備えている。
5. 易言語（やさしい言語）
中国発のプログラミング言語で、日本語でも記述可能。
C言語風の書き方ができるが、日本国内での認知度は低い。
なぜ日本語プログラミング言語は普及しないのか？
日本語プログラミング言語が広まらない理由は、大きく分けて6つある。
1. 英語ベースのプログラミング言語が圧倒的に主流
プログラミングの世界では 英語が標準言語 になっている。Python、JavaScript、C++、Javaなど、世界的に使用される言語のほとんどは英語ベースだ。
また、最新技術のドキュメントや解説記事も英語が中心。企業や大学の教育でも、英語のプログラミング言語が推奨されており、日本語の言語は選択肢に入らない。
2. エコシステム（ライブラリ・フレームワーク）の不足
PythonやJavaScriptなどの言語には、膨大なライブラリやフレームワークがあり、開発効率が高い。
一方、日本語プログラミング言語は、ライブラリの数が圧倒的に少なく、実務で使うには機能が不足している。
3. 実用性の低さ
「なでしこ」や「プロデル」は教育目的で作られており、大規模な開発には向かない。
企業のシステム開発では、保守性や拡張性が重要視されるため、日本語プログラミング言語が採用されることはまずない。
4. 開発者コミュニティの小ささ
PythonやJavaScriptには 世界中に数百万人の開発者 が存在し、質問すればすぐに回答が得られる。
しかし、日本語プログラミング言語はコミュニティが小さいため、情報が限られており、トラブル対応が難しい。
5. 日本語の表現がプログラムに適さない
プログラミングでは 短く簡潔な記述が求められる。しかし、日本語は冗長になりやすく、記述が長くなる傾向がある。
例えば、Pythonなら
print("Hello")
で済むが、日本語プログラミング言語では
「**Hello**」と表示する
のように記述が長くなる。可読性の観点からも、日本語はプログラム記述に向いていない。
6. 学習コストと将来性の問題
プログラミングを学ぶなら、実務で役立つ言語を選ぶのが合理的だ。日本語プログラミング言語を学んでも、現場で使える機会はほとんどない。
そのため、多くの人は 最初からPythonやJavaScriptを学ぶ 選択をする。結果として、日本語プログラミング言語の学習者が増えず、普及しない。
それでも日本語プログラミング言語に未来はあるのか？
「じゃあ、日本語プログラミング言語は完全に不要なのか？」
そう思うかもしれないが、一部の用途では 十分に価値がある。
1. プログラミング初心者や子ども向けの教育
日本語の文法に近い形でコーディングできるため、初心者がプログラミングの概念を学ぶのには向いている。
実際、教育現場では「なでしこ」や「プロデル」が活用されている。
2. 日本語が得意でない層への対応
日本語プログラミング言語は、 外国人や高齢者にも理解しやすい。ITリテラシーの低い層にプログラムを書かせる際のサポートツールとしては有用かもしれない。
3. 特定の業務向けシステム
業務システムの一部で、日本語の指示に従って動作するようなツールを開発する際には、日本語プログラミング言語が役立つ場合がある。ただし、これも限定的な用途にとどまる。
まとめ
日本語プログラミング言語は、教育用途や特定のシステム開発では一定の価値がある。
しかし、実務や大規模開発の場では、英語ベースの言語が圧倒的に優位 であり、日本語プログラミング言語が普及する可能性は低い。
もしプログラミングを学びたいのであれば、まずはPythonやJavaScriptなどの 実用性の高い言語 から始めるのが最も効率的だ。
とはいえ、「なでしこ」や「プロデル」を触ってみるのも、プログラミングの楽しさを知るきっかけになるかもしれない。興味があれば、ぜひ試してみてほしい。
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