はじめに
G検定の出題範囲は広く、AI・機械学習・ディープラーニングに関する基礎知識を網羅しておく必要がある。
中でも、機械学習モデルに関するパラメータの知識は頻出テーマのひとつ。
今回の記事では、実際のG検定の過去問をベースに「ハイパーパラメータ」とは何かを整理し、他の選択肢とどう違うのかを明確にしていく。
過去問を見てみよう
以下の文章を読み、(●)に最もよく当てはまる選択肢を選べ。
機械学習のモデルが持つパラメーターの中で人が調整をしないといけないパラメーターのことを(●)とよぶ。
- ハイパーパラメータ
- デフォルト値
- Heの初期値
- Xavierの初期値
正解は「1. ハイパーパラメータ」
「ハイパーパラメータ」とは?
ハイパーパラメータとは、機械学習アルゴリズムを動かす前に人間があらかじめ設定しておく必要のあるパラメータのこと。
学習率やエポック数、バッチサイズ、ネットワークの層数などがその例にあたる。
これらは、モデルの学習性能に大きく影響を与えるため、試行錯誤しながら最適値を見つけていく必要がある。
例えば、学習率(learning rate)を高く設定しすぎると発散し、低すぎると学習が遅くなる。
まさに「調整の妙」が問われる部分であり、人が介入すべき設計パラメータにあたる。
他の選択肢との違いを見てみよう
問題文には紛らわしい選択肢も含まれていた。順番に解説する。
| 選択肢 | 内容 | ハイパーパラメータとの違い |
|---|---|---|
| デフォルト値 | ライブラリなどであらかじめ設定されている初期値のこと | 手動で調整する必要がない場合が多く、モデルごとに異なる |
| Heの初期値 | 重みの初期化手法の一つで、ReLUなどの活性化関数と相性が良い | ハイパーパラメータとは異なり、内部で使われる計算的な初期設定 |
| Xavierの初期値 | tanh関数などと相性が良い初期化手法 | こちらも重みの初期化方法で、人が毎回調整することは少ない |
つまり、「人が調整しないといけない」という条件に一致するのはハイパーパラメータだけである。
実務で使われるハイパーパラメータの例
実際に機械学習の開発現場でよく使われるハイパーパラメータをいくつか挙げておこう。
- 学習率(learning rate):最も重要なハイパーパラメータの一つ。モデルの収束スピードと精度を左右する。
- エポック数(epochs):データセットを何周学習するかの回数。
- バッチサイズ(batch size):一度に学習に使うデータの数。
- 隠れ層の数とユニット数:ニューラルネットワークの構造を定義する要素。
- ドロップアウト率(dropout rate):過学習を防ぐためのランダムなユニットの無効化率。
これらは経験と実験を通じて最適化していく必要がある。
ハイパーパラメータ調整のテクニック
調整は「手動で頑張る」だけではなく、以下のような方法が現場ではよく用いられる。
- グリッドサーチ(Grid Search):あらかじめ定めた範囲をすべて試す。単純だが時間がかかる。
- ランダムサーチ(Random Search):ランダムにパラメータの組み合わせを試す。効率が良い場合もある。
- ベイズ最適化:最も効率的なハイパーパラメータ探索を行う高度な方法。ライブラリ(Optunaなど)も整備されている。
まとめ
G検定の問題では、単なる用語の暗記だけでなく「なぜその選択肢が正解なのか」「他はなぜ違うのか」という理解が問われる。
今回の問題では、人が調整する必要があるパラメータというキーワードがポイントだった。
それに該当するのが「ハイパーパラメータ」であり、他の選択肢(デフォルト値や初期化手法)は文脈的に当てはまらない。
✅ ハイパーパラメータとは:事前に人が設定する必要のあるパラメータ
✅ 試験対策ポイント:選択肢の意味を深掘りして違いを明確にする
✅ 実務応用:学習率・バッチサイズ・ドロップアウト率などを調整して精度向上へ
G検定合格を目指すなら、単なる暗記ではなく「なぜそうなるのか?」という視点で問題に向き合っていこう。


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