はじめに
G検定では、人工知能の基礎知識だけでなく、実社会での応用事例や最新技術動向も問われる。中でも注目すべきは、自然言語処理(NLP)の分野で革新をもたらした「Transformer」関連技術だ。
本記事では、G検定の過去問を通じて、2018年にGoogleが発表したTransformerベースのアルゴリズム「BERT」について解説する。
実際のG検定問題を確認する
まずは、実際の出題例を見てみよう。
2018年にGoogleが発表したTransformerを用いたアルゴリズムとして、最も適切な選択肢を選べ。
選択肢
- GoogLeNet
- PageRank
- deep Q-network
- BERT
正解は 「4. BERT」
BERTとは何か?
BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)は、Googleが2018年に発表した自然言語処理モデル。
最大の特徴は、Transformerアーキテクチャを用い、「双方向」に文脈を理解できる点にある。
従来のモデル(例:Word2VecやGloVeなど)は、文の前方もしくは後方の文脈しか参照できなかった。対してBERTは、前後両方の単語情報を同時に取り込み、深い意味理解を実現する。
その結果、検索エンジンの精度向上、質問応答タスク、文章分類など、多くのNLPタスクで圧倒的な性能を記録した。
なぜ他の選択肢は誤りなのか?
他の選択肢とBERTの違いを以下の表で比較する。
| 選択肢 | 概要 | 誤りの理由 |
|---|---|---|
| GoogLeNet | 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を応用した画像認識モデル | 画像認識に特化しており、自然言語処理とは無関係 |
| PageRank | Googleの創業時に開発された、ウェブページの重要度を評価するアルゴリズム | 自然言語処理ではなく、検索順位の決定アルゴリズム |
| deep Q-network(DQN) | 強化学習に基づくアルゴリズムで、主にゲームプレイなどで活用される | 強化学習分野の技術であり、Transformerとも無関係 |
つまり、Transformerを用いた自然言語処理アルゴリズムという条件を満たすのは、BERTのみとなる。
BERTの登場がもたらした衝撃
BERTの登場は、NLPの潮流を一気に塗り替えた。実際に、以下のような実用例が急増している。
1. 検索エンジンの文脈理解
Google検索では、ユーザーのクエリをより深く理解するためにBERTが導入された。
たとえば、「外国人の医療保険はいつから適用される?」という曖昧な文も、BERTを通じて意味解釈の精度が格段に上がっている。
2. 質問応答システム
BERTは、質問文と文書内の回答候補を突き合わせ、適切な一文を抽出する能力に長けている。
医療、法律、金融などのドメインにおけるチャットボットへの応用が急速に進んでいる。
3. 感情分析・要約生成
従来の単語ベース手法よりも文脈把握が深いため、レビュー分析や自動要約にも適している。
人間の感情の機微を捉える精度が向上し、SNS分析や顧客対応にも貢献している。
Transformerとの関係性
Transformerとは、Attention機構を中心に構築されたニューラルネットワークの一種。
BERTはこのTransformerのEncoder部分のみを利用して設計されている。
特徴的なのは、「Self-Attention」により、文中の単語同士の関連性を並列に処理できる点。これにより、従来のRNNやLSTMと比較して、圧倒的に高速かつ高精度な言語理解が可能になった。
まとめ
G検定では、用語の定義や仕組みの理解だけでなく、「いつ・誰が・何の目的で」開発した技術かを問われることが多い。
今回の問題では、以下のポイントを押さえておくべきだ:
- Transformerを活用した自然言語処理モデルとして、BERTが正解
- GoogLeNetやDQNは画像・強化学習系の技術であり、文脈が異なる
- BERTは文脈理解力が強く、Google検索やチャットボットにも応用されている
自然言語処理における基礎と応用の橋渡しとなる重要な技術、それがBERTである。
G検定対策としても、実務での応用力としても、しっかり理解しておく価値があるだろう。


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