はじめに
G検定はAIや機械学習の基礎を問う重要な試験だが、その中でも「プロセスの流れ」に関する問題は繰り返し出題されている。
今回はその中から、「学習」と対になるもう一つのプロセスに関する設問を取り上げる。
用語の意味をしっかり理解することで、他の問題にも応用できる知識となる。
問題その1
以下の文章を読み、(●)に最もよく当てはまる選択肢を選べ。
機械学習には大きく2つのプロセスがあり「学習」のプロセスと「(●)」のプロセスがあり、「(●)」は「学習」で生成した「推論モデル」に当てはめて、その結果を導くプロセスとなる。
選択肢
- 制御
- フィードバック
- 推論
- 統計
正解は「3. 推論」
解説:「学習」と「推論」の違いとは?
機械学習のプロセスは、大きく分けて次の2段階で構成されている。
- 学習(トレーニング)
- 大量のデータを使って、パターンやルールを見つけ出すプロセス
- 例:猫の画像を何千枚も見せて「猫らしさ」を学習する
- 推論(インフェレンス)
- 学習済みモデルに新しいデータを入力し、その結果(分類・予測など)を出力するプロセス
- 例:新しい画像が猫かどうかを判断する
ここで問われている(●)のプロセスとは、「学習」後のステップであり、訓練済みモデルを用いて新しいデータに対応するという点が重要になる。
したがって「推論」が最も適切な選択肢となる。
他の選択肢はなぜ不正解なのか?
以下に各選択肢の意味と、なぜこの文脈では誤りとなるのかを比較してみよう。
| 選択肢 | 概要 | なぜ不適切か |
|---|---|---|
| 制御 | システムの出力を調整するための操作 | 機械学習プロセスの中核ではなく、一般にロボティクスや信号処理の文脈で使われる |
| フィードバック | 出力を入力に戻して調整する仕組み | 強化学習では登場するが、ここで問われているのはモデルの利用プロセス |
| 統計 | データを数値的に分析する方法 | 学習の前提となる技術の一つではあるが、プロセスとして直接は関与しない |
このように「推論」以外の選択肢は、プロセスの内容や文脈と合致していない。G検定では、このような用語の正確な意味と役割の理解が問われる。
推論プロセスの具体例
実際の業務や開発現場では、推論のプロセスは以下のように活用されている。
1. 画像認識
カメラで撮影した画像に対して、すでに学習済みのモデルを適用し、「これは犬か猫か?」と分類を行う。
2. スパムフィルタリング
メールの本文を解析し、スパムかどうかを自動判定。これも訓練されたモデルが新しいメールに対して推論を行っている。
3. 声の文字起こし
音声データをテキストに変換する音声認識モデルも、学習済みモデルを使った推論の典型例だ。
これらのプロセスはすべて、過去の学習によって構築されたモデルを「活用」する段階となる。
推論を行う際の注意点
推論はあくまで「学習済みモデル」に依存しているため、学習段階でのデータの偏りや品質が結果に大きく影響する。
- 学習データにないパターンに弱い
- モデルが古くなると精度が低下する
- 新しい状況に柔軟に対応するには再学習が必要
このような制約を理解しておくことが、実務でのAI活用にも重要となる。
まとめ
G検定の過去問では、「学習」と「推論」の関係が頻出テーマの一つとなっている。
この問題を通じて、機械学習モデルの基本的な流れをしっかり理解しておこう。
✅ 学習:データからパターンを見つけるプロセス
✅ 推論:新しいデータに対してモデルを使い、結果を出力するプロセス
✅ 他の選択肢(制御・フィードバック・統計)は文脈に合わない
試験対策はもちろん、AI開発を目指すエンジニアにとっても、このプロセスの理解は必須だ。


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