転移学習とファインチューニングの違いとは?実務活用のポイントを解説【G検定対策】

G検定対策

G検定対策:転移学習とファインチューニングの違いを理解しよう

機械学習の分野では、ゼロからモデルを構築するのではなく、学習済みモデルを活用する手法が広く用いられている。特に、画像認識や自然言語処理の分野では、「転移学習」や「ファインチューニング」が重要なテクニックとなる。

G検定の試験対策としても、これらの概念を正しく理解しておくことは不可欠だ。本記事では、G検定の過去問をもとに、「転移学習」と「ファインチューニング」の違いについて整理しておく。


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転移学習とファインチューニングの違いとは?

転移学習(Transfer Learning)とは?

転移学習とは、事前に学習されたモデルを利用し、新しいタスクに適用する技術である。
一般的に、以下のような流れで行われる。

  1. 既存の学習済みモデルをロード(例:ImageNetで事前学習されたResNet、BERTなど)
  2. 最終層(出力層)を新しいタスク用に置き換え(例:クラス数を変更)
  3. 新しいデータで出力層のみを再学習

ここで重要なのは、特徴抽出部分(畳み込み層やエンコーダ部分)の重みは基本的に変更しないという点である。

💡 転移学習のポイント
– 事前学習されたモデルを利用し、新しいタスクに適用する
– 特徴抽出層の重みは固定し、出力層のみ学習
– 計算コストが低く、学習データが少なくても有効

ファインチューニング(Fine-tuning)とは?

一方、ファインチューニングとは、転移学習の後に、特徴抽出層の重みも微調整する手法である。
流れとしては、まず転移学習を行い、その後、一部または全ての層のパラメータを再学習する。

💡 ファインチューニングのポイント
– 出力層だけでなく、特徴抽出層の重みも再学習
– 全層を学習する場合もあるが、後半の層のみ学習することが多い
– 転移学習よりも計算コストが高いが、新しいタスクに適した表現を学習できる


問題

実際のG検定で出題された問題を見てみる。

機械学習において、学習済みモデルを使用し、最終出力層の追加学習に加え、既存の特徴抽出層の重みを微調整する手法として、最も適切な選択肢を選べ。

選択肢

  1. 蒸留
  2. パラメータチューニング
  3. 転移学習
  4. ファインチューニング

正解は「4. ファインチューニング

転移学習とファインチューニングは混同されやすいが、本質的な違いがある。

なぜ「ファインチューニング」が正解なのか?

G検定の問題では、「最終出力層の追加学習に加え、特徴抽出層の重みを微調整する」と明記されている。
つまり、単なる転移学習ではなく、モデル全体の微調整が行われるため、正解は 「ファインチューニング」 となる。

では、他の選択肢はなぜ不正解なのか?

他の選択肢の誤り

  1. 蒸留(Distillation)
    • 蒸留は「知識蒸留(Knowledge Distillation)」とも呼ばれ、大きなモデルの知識を小さなモデルに圧縮する手法である。
    • 例えば、大規模なBERTモデルを軽量化した「DistilBERT」は、蒸留の代表的な例だ。
    • これは「学習済みモデルの微調整」ではなく、「モデルのサイズ縮小」なので不適切。
  2. パラメータチューニング(Hyperparameter Tuning)
    • ハイパーパラメータの調整(例:学習率やバッチサイズの最適化)を指すが、モデルの重みそのものの学習とは異なる。
    • ハイパーパラメータの最適化は、学習プロセス全体に関わるが、問題文の「学習済みモデルの微調整」とは直接関係しないため、不適切。
  3. 転移学習(Transfer Learning)
    • 既存のモデルを新しいタスクに適用する手法だが、特徴抽出層の重みは変更しないことが前提。
    • 問題文では「特徴抽出層の重みを微調整する」とあるため、不十分。

以上の理由から、最も適切な選択肢は 「ファインチューニング」 となる。


実務における転移学習とファインチューニングの活用例

G検定合格後、実務で機械学習を活用する際、転移学習とファインチューニングは非常に重要な技術となる。
具体的にどのような場面で使われるのか、以下にいくつかの例を挙げてみる。

1. 画像認識(Computer Vision)

転移学習:
– ResNet、EfficientNet などの学習済みモデルを利用し、医療画像診断や異常検知などの新しい分類タスクに適用

ファインチューニング:
– 特定の製造業向けデータセットに適用する場合、後半の層を微調整し、より高精度な分類を実現

2. 自然言語処理(NLP)

転移学習:
– 事前学習済みのBERTやGPTを活用し、特定分野のテキスト分類や感情分析を行う

ファインチューニング:
– ドメイン特化したデータセットでBERTの最後の数層を再学習し、精度向上

3. 音声認識(Speech Processing)

転移学習:
– 事前学習済みのWave2Vecを用いて、特定の言語や方言に適用

ファインチューニング:
– カスタムデータセットでモデルを微調整し、業界特化した音声認識を実現


まとめ

G検定の問題を通じて、転移学習とファインチューニングの違いを明確に整理することができた。

✅ 転移学習: 特徴抽出層の重みを固定し、出力層のみ学習
✅ ファインチューニング: 特徴抽出層の重みも微調整する

試験対策としては、「どの手法がどの目的で使われるのか」を正しく理解し、類似概念と区別できるようにしておこう。

G検定合格を目指すだけでなく、実務での活用方法も意識しながら学習を進めていくことが重要だ。

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