はじめに
G検定では、人工知能に関する基礎知識だけでなく、深層学習の基本的な仕組みについても問われる。
中でも、ニューラルネットワークにおける「活性化関数」の知識は必須といえる。
本記事では、実際にG検定で出題された問題を取り上げながら、「ハイパボリックタンジェント関数(双曲線正接関数)」の正しい表記とその意味について、わかりやすく整理する。
問題:ハイパボリックタンジェントの正しい表記を選べ
G検定の過去問を見てみよう。
活性化関数の1つとして用いられることがある「ハイパボリックタンジェント」の表記として、最も適切な選択肢を選べ。
選択肢
- cot
- tan
- tanh
- arctan
正解は 「3. tanh 」
なぜ「tanh」が正解なのか?
「ハイパボリックタンジェント関数」は、数式で次のように表される。
$$
\tanh(x) = \frac{e^x – e^{-x}}{e^x + e^{-x}}
$$
この関数は、入力値を -1 から 1 の範囲に圧縮する働きがあり、シグモイド関数に似たS字型をしている。
ただし、出力の中心が0に近いため、シグモイドよりも勾配消失の影響を受けにくいという特徴がある。
このため、隠れ層の活性化関数として頻繁に使われる。
「tanh」は “hyperbolic tangent” の略で、数学的に定義された正式な関数名だ。
他の選択肢が間違いである理由
選択肢の中には一見似ているものもあるが、用途や意味がまったく異なる。
| 選択肢 | 正式名称 | 内容 | 誤りの理由 |
|---|---|---|---|
| cot | cotangent(余接) | 三角関数の一つで、tanの逆数 | 活性化関数ではなく、双曲線関数とも関係がない |
| tan | tangent(接線) | 三角関数の一つで、sin÷cos | 似ているが、これは双曲線ではなく円関数 |
| arctan | arc tangent(逆正接) | tanの逆関数で、入力に対し角度を返す | 活性化関数としては使われない(使用例は少ない) |
| tanh | hyperbolic tangent(双曲線正接) | 入力値を滑らかに-1〜1の範囲に変換する | 正解。深層学習で広く使われる活性化関数 |
「tan」と「tanh」の混同は特に注意が必要だ。
見た目が似ているため間違えやすいが、両者はまったく異なる性質を持っている。
活性化関数としてのtanhの特徴
- 出力範囲が -1〜1 に収まる
- 中心が 0 で対称性がある
- シグモイドよりも勾配が消えにくいため、学習が進みやすい
- 主に隠れ層に使われ、出力層には使われにくい(出力用途にはsoftmaxやReLUが使われる)
例として、Kerasなどのディープラーニングライブラリでは次のように指定できる。
from tensorflow.keras.layers import Dense
from tensorflow.keras.models import Sequential
model = Sequential()
model.add(Dense(64, activation='tanh', input_shape=(100,)))
このように、tanh関数は実際のモデル構築においても使いやすい選択肢だ。
まとめ
G検定では、こうした基礎的な数式の読み方や関数の用途が問われることがある。
「tanh」は、「ハイパボリックタンジェント」の略であり、活性化関数の中でも重要な位置を占めている。
- 正しい表記:「tanh」
- 他の関数(tan, cot, arctan)との違いを明確に理解しておくこと
- tanhは出力が-1から1で対称性があるため、学習が安定しやすい
このような基礎知識をしっかりと押さえることで、G検定本番でも確実に得点につなげることができる。
数式に苦手意識がある人も、具体的な関数の特徴をイメージできれば理解が進む。
本記事を活用して、知識の定着を図ってほしい。


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