はじめに
かつて「安かろう悪かろう」と言われたエントリークラスのCPU。その常識を打ち破った「Intel N100」の衝撃から、時代はさらに先へ進んだ。
2026年現在、低価格PC市場の新たに登場したのが、Intel Processor N250だ。コードネーム「Twin Lake」と呼ばれるこのチップは、前モデルのN200から何が進化したのか。ベンチマーク結果を交え、その実力を余すことなく解説する。
Intel Processor N250の基本スペック
まずは、このプロセッサがどのような素性を持っているのか。その詳細をスペック表にまとめた。
主な仕様一覧
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| CPU名 | Intel Processor N250 |
| コードネーム | Twin Lake |
| プロセスルール | Intel 7 (10nm) |
| コア数 / スレッド数 | 4コア / 4スレッド (Eコアのみ) |
| 最大周波数 | 3.8GHz (ターボ・ブースト時) |
| キャッシュ | 6MB |
| TDP (熱設計電力) | 6W |
| 対応メモリ | DDR5-4800 / DDR4-3200 / LPDDR5-4800 |
| 内蔵グラフィックス | Intel Graphics (32 EUs) |
| GPU最大周波数 | 1.25 GHz |
注目すべきは「GPU周波数の大幅向上」だ
N250は、従来のN200(最大3.7GHz)からCPUクロックがわずかに向上しただけではない。
最も大きな進化は、内蔵GPUの動作周波数が750MHzから1.25GHzへと大幅に引き上げられた点にある。
これにより、描画負荷がかかるブラウジングや、複数のディスプレイ出力時の安定性が向上している。
【ベンチマーク比較】実力はどれほどか?
数値で見れば、その立ち位置は一目瞭然だ。PassMarkとGeekbench 6のスコアを、同クラスや少し前のメインストリームCPUと比較してみよう。
PassMark(マルチコア性能)
| CPU | マルチコアスコア | 特徴 |
|---|---|---|
| Core i5-10210U | 6,381 | 第10世代の主力モデル |
| Intel Processor N250 | 5,920 | 本作 (N200より約8%向上) |
| Intel Processor N200 | 5,496 | 前世代モデル |
| Intel Processor N100 | 5,500前後 | 人気のエントリーモデル |
| Core i3-10110U | 4,185 | 10世代i3を圧倒 |
Geekbench 6(シングル / マルチスコア)
| CPU | シングルコア | マルチコア |
|---|---|---|
| Intel Processor N250 | 1,151 | 3,164 |
| Intel Processor N200 | 1,268 | 2,730 |
| Core i5-10210U | 1,229 | 3,005 |
Note
N250のマルチコアスコアは約6,000弱に達する。これは、数年前のメインストリームノートPC(第8世代〜第10世代のCore i5)に肉薄する数値だ。シングルスレッド性能も1,100を超えており、Windows 11の操作やアプリケーションの起動に「もたつき」を感じる場面は大幅に減っている。
向いている作業(快適にこなせる)
- Webブラウジング: タブを20個ほど開いても、メモリ容量(8GB〜16GB)さえあれば快適だ。
- 動画視聴: AV1デコードに対応しており、4KのYouTube動画も低負荷で再生可能だ。
- オフィスワーク: Word、Excel、PowerPointなどの基本ソフトは軽快に動く。
- オンライン会議: ZoomやMicrosoft Teamsを立ち上げながらの資料閲覧も問題ない。
向かない作業(ストレスを感じる)
- 最新ゲーム: 3Dゲームは、設定を最低にしても厳しい。
- 高度な動画編集: 4Kのカット編集やエフェクト多用の作業は、書き出しに膨大な時間がかかる。
- 重い開発環境: 大規模なコードのビルドや、複数の仮想マシンを動かす用途にはパワー不足だ。
N250搭載のPCについて
N250を搭載するPCは、主に「ミニPC」がターゲットになるだろう。しかし現在の市場を見渡すと、N250を搭載したパソコンは、爆発的にヒットしたN100ほど多くはない。これは高価になりがちな最新のN250よりも値下がりしたN100やN97で妥協する層のほうが多い為と考えられる。
そして、もう少し予算を出せば、8コアを搭載した「Core i3-N305」などが視野に入る。 「安さのN100」と「性能のCore i3」の間に挟まれ、4コアのN250は「器用貧乏」な立ち位置になってしまっているのも要因の一つとして考えられる。
まとめ
Intel Processor N250は、低価格PCの限界を確実に押し上げた。
そして数が少ないからこそ、その価値を理解して選ぶ「玄人向け」の選択肢になりつつある。
N200からの買い替えは劇的な変化を感じにくいかもしれないが、N100未満の古いPCを使っているなら、N250への移行は「別世界」の体験になるはずだ。

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