はじめに
近年、AI技術の進展に伴い、自然言語処理(NLP)はより多くの領域で活用されている。
その中でも「テキストマイニング」は、企業のデータ分析からマーケティング、カスタマーサポートの改善まで幅広く使われる重要な手法だ。
G検定では、NLPの基本概念が頻出テーマとなっており、BoW(Bag-of-Words)の理解は欠かせないポイントとなっている。
今回は、G検定の過去問を題材にしながら、BoWとは何か、またその前処理についても整理しておこう。
BoW(Bag-of-Words)とは?
BoWは、文章を単語ごとの出現頻度として数値化し、文章全体を単語の集合(袋)として捉えるシンプルな手法だ。
意味や語順は考慮せず、単語の有無や出現回数のみを重視する特徴がある。
たとえば、次の2文を考えてみよう。
- 文①:「AIが世界を変える」
- 文②:「世界がAIを変える」
この2文は語順が異なるが、BoWでは次のように同じベクトルとして扱うことがある。
| 単語 | 出現回数 |
|---|---|
| AI | 1 |
| が | 1 |
| 世界 | 1 |
| を | 1 |
| 変える | 1 |
語順を無視して、単語が登場したかどうかに注目するのがBoWの基本的な考え方だ。
問題その1:G検定の過去問より
テキストマイニングなどで行うBoW(Bag-of-Words)の説明として、最も適切な選択肢を選べ。
選択肢
- テキストの表記ゆれを統一する
- テキストを電子化する
- テキストを分割する
- テキストをベクトル化する
正解は「4. テキストをベクトル化する」
なぜ「テキストをベクトル化する」が正解なのか?
BoWの本質は、「文章を数値ベクトルに変換する」ことにある。
これにより、機械学習モデルが文章データを扱えるようになる。
たとえば、文章をベクトルで表すと次のような処理が可能になる:
- 複数の文章間で類似度を測定できる(コサイン類似度など)
- 感情分析や分類タスクで数値処理が可能になる
- 機械学習モデルへの入力として使用できる
BoWは、文章を構成する単語の集合をベースにベクトルを構築するため、まさに「テキストのベクトル化」という表現が最も適している。
なぜ他の選択肢は不適切なのか?
選択肢を一つずつ見ていこう。
| 選択肢 | 説明 | 誤りの理由 |
|---|---|---|
| 1. 表記ゆれの統一 | 「AI」と「AI」など、同じ意味でも表記の異なる単語を統一する処理 | BoWの準備段階では有効だが、BoWそのものの説明には当たらない |
| 2. テキストの電子化 | 書籍や紙媒体をOCRなどでデジタル化する作業 | 自然言語処理の前段階の処理であり、BoWの内容とは直接関係がない |
| 3. テキストの分割 | 文や単語の区切りを判定する(トークン化) | ベクトル化する前の工程であり、BoWそのものの定義ではない |
| 4. テキストをベクトル化する | BoWは単語の出現情報を使って数値ベクトルを構築する手法 | 最も適切な選択肢 |
このように、他の選択肢はいずれもBoWの「前処理」として重要だが、BoWそのものの説明としては不十分となる。
BoWを活用する場面とは?
BoWは古典的な手法ではあるが、現在でも幅広い用途で活用されている。以下に代表例を挙げておく。
1. スパムメール判定
受信したメールをBoWでベクトル化し、「スパム語」の出現頻度からスパム判定を行う。
2. 映画レビューの感情分析
ユーザーのレビューを単語ごとに数値化し、ポジティブ・ネガティブを分類するモデルに入力する。
3. 商品レビューの自動分類
ECサイトの商品レビューをカテゴリ別に分類する際にもBoWが活用される。
BoWをPythonで試すには?
Pythonでは、以下のようにCountVectorizerを使うことで簡単にBoWを構築できる。
from sklearn.feature_extraction.text import CountVectorizer
texts = ["AIが世界を変える", "世界がAIを変える"]
vectorizer = CountVectorizer()
X = vectorizer.fit_transform(texts)
print(vectorizer.get_feature_names_out())
print(X.toarray())
📌 実行結果(単語ごとの出現頻度が表示される)
まとめ
G検定の過去問を通じて、BoW(Bag-of-Words)の本質を再確認した。
✅ BoWとは? → 文章内の単語を数値ベクトルに変換する手法
✅ 正しい選択肢 → 「テキストをベクトル化する」
✅ 誤りの選択肢 → BoWの前処理ではあるが、本質的な説明には不適切
自然言語処理の理解を深めるためには、こうした基礎的な概念を確実におさえておくことが重要だ。
G検定合格を目指す人にとっても、BoWはスルーできないテーマの一つである。
記事の続きとして、「TF-IDF」や「Word2Vec」といった次のステップも取り上げていくと理解がさらに深まる。
興味があれば、そちらもぜひチェックしてみてほしい。


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