はじめに
深層学習(ディープラーニング)のモデル設計は、AIの性能を左右する重要な要素だ。
中でも、画像認識の分野で大きな影響を与えた「VGGNet(ブイジージーネット)」は、G検定でも頻出のテーマとなっている。
今回は、G検定の過去問から「VGGNet」に関する問題をピックアップし、正答だけでなく「なぜ他の選択肢が誤りなのか」も含めて詳しく解説していく。
VGGNetとは何か?
VGGNetは、2014年にオックスフォード大学の研究チーム「Visual Geometry Group」によって提案された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の一種。
最大の特徴は「非常にシンプルな構造」で、3×3の小さな畳み込みカーネルを積み重ねることで高い精度を実現した点にある。
代表的なモデルには、以下の2つが存在する。
| モデル名 | 層数 | 特徴 |
|---|---|---|
| VGG16 | 16層 | 学習済みモデルとしてもよく使われる構成。計算量は多いが高精度。 |
| VGG19 | 19層 | より深い層構成。学習には時間がかかるが、VGG16よりやや高性能。 |
問題を見てみよう
実際のG検定で出題された過去問がこちら。
深層学習のモデルの1つであるVGGNetの説明として、最も不適切な選択肢を選べ。
選択肢
- 2014年にオックスフォード大学のチームが発表した
- 19層のネットワークからなるアーキテクチャをVGG19という
- 2014年のILSVRCでGoogLeNetに勝利し1位となった
- 16層のネットワークからなるアーキテクチャをVGG16という
正解は「3. 2014年のILSVRCでGoogLeNetに勝利し1位となった」
なぜ不適切なのか?
VGGNetは、2014年の画像認識コンペティション「ILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)」において高い評価を受けたが、最終的な優勝モデルは「GoogLeNet(Inception v1)」だった。
VGGは2位という好成績だったものの、1位ではない点が事実と異なる。
他の選択肢はなぜ正しいのか?
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 2014年にオックスフォード大学のチームが発表した | 正しい。VGGNetはオックスフォード大学のVisual Geometry Groupが開発した。 |
| 2 | 19層のネットワークからなるアーキテクチャをVGG19という | 正しい。VGG19は、13の畳み込み層と3つの全結合層、3つのプーリング層から構成されており、合計で19層。 |
| 4 | 16層のネットワークからなるアーキテクチャをVGG16という | 正しい。VGG16も同様に、16層構成のモデルであり、一般的に広く利用されている。 |
このように、選択肢3以外はいずれも事実に基づいた内容となっている。
VGGNetが試験で問われやすい理由
G検定では「なぜそのモデルが登場したのか」「どういう点で革新だったのか」が問われやすい。
VGGNetは以下のような点で重要だ。
- 構造がシンプルで再現しやすい
→ すべて3×3の畳み込みで構成され、他モデルのような複雑な構造がない - 深層化の効果を示した初期の成功例
→ 層を深くすることで性能が上がるという方針を実証した
また、現在でも転移学習のベースモデルとして使われることが多く、実用面でも知識が生きる。
VGGNetに関するよくある誤解
1位になったと勘違いされやすい
ILSVRC2014で2位だったにもかかわらず、「性能が非常に高かった」ことから1位と誤認されがち。試験ではこのような「思い込みの落とし穴」に注意したい。
VGG16とVGG19の違いが曖昧
どちらもよく使われるが、明確な違いは「層の数」だけ。16層か19層か、数字と構成の一致を押さえておくこと。
実務でのVGGの活用
VGGモデルは、以下のようなシーンで今も使われている。
- 転移学習のベースモデル(学習済みモデルとして)
- 医療画像や監視カメラ映像の分類タスク
- 教育用途の深層学習チュートリアル
実務で触れる機会も多いため、基本的な構造や背景知識は必ず押さえておきたい。
まとめ
VGGNetは、深層学習の歴史における重要なモデルの一つだ。
G検定では、次のポイントを押さえておこう。
✅ VGGはオックスフォード大学が提案したモデル
✅ VGG16=16層構成、VGG19=19層構成
✅ ILSVRC2014では2位であり、優勝はGoogLeNet
モデルの構成や発表背景をしっかり理解しておけば、試験でも実務でも応用がきく知識となる。
特に「1位と勘違いしやすい」点は、G検定の引っかけ問題として狙われやすいため注意しておきたい。


コメント