SES契約と準委任契約の違いとは?AI開発現場で求められる契約形態の基本【G検定対策】

G検定対策

はじめに

AI開発がビジネスの現場で一般化するにつれ、プロジェクトをどのように契約するかという「契約形態」の理解が重要になってきた。
G検定でも、AI開発における実務的な知識を問う問題が出題されることがある。

今回は、実際のG検定の過去問を通して、AI開発における契約形態――特に「準委任契約」と「SES契約」について整理してみよう。


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AI開発で用いられる契約の種類

AIシステム開発を進める際、企業が外部のエンジニアやベンダーに業務を依頼することがある。
このとき、どのような契約を結ぶかは、プロジェクトの進め方や責任範囲に大きく関わってくる。

主な契約形態として、以下の4つが挙げられる。

契約形態 概要
業務委託 業務の実施を外部に依頼する契約の総称。請負や準委任を含む広義の概念。
派遣 企業の指揮命令のもと、派遣元の社員が作業を行う契約形態。労働者派遣法の適用対象。
請負 完成責任を負い、成果物の納品が契約の目的となる。納期と成果に厳格。
準委任 指揮命令を伴わず、業務の遂行を依頼する契約。主に労務提供型。

この中でも、AI開発の現場で多く見られるのが「準委任契約」であり、これが「SES契約(システムエンジニアリングサービス契約)」のベースとなる。


問題その1

G検定の実際の問題を見てみよう。

民間企業でAIを開発する際に用いられる契約の1つに(●)契約があり、特にシステム開発における一部の開発を委託する場合はSES契約という。

選択肢

  1. 業務委託
  2. 派遣
  3. 請負
  4. 準委任

正解は「4. 準委任


なぜ「準委任契約」が正解なのか?

SES契約とは、企業が外部エンジニアを「指揮命令せず」に常駐させ、技術支援を受ける契約形態である。
このとき、成果物の完成責任を負わないという点が特徴だ。あくまで「業務遂行」が目的となる。

つまり、SES契約の法律的な性質は「準委任契約」にあたる。
準委任契約では、受託者が善良な管理者として業務を遂行する義務を負うが、成果物の完成までは求められない。


他の選択肢はなぜ誤りか?

それぞれの契約形態について、準委任契約との違いを整理しておこう。

契約形態 特徴 準委任との違い
業務委託 広義の概念で、準委任も含まれる。 正確には「包括的な分類」であり、選択肢としては曖昧すぎる。
派遣 発注者が作業者へ直接指揮命令を出せる。 準委任では指揮命令が認められないため、法的枠組みが異なる。
請負 成果物の納品が前提。完成責任が発生する。 準委任では成果物ではなく、業務遂行自体が目的。
準委任 業務の実施を目的とし、完成責任は負わない。 SES契約に該当する法的な契約形態。

このように、SES契約の本質を問う問題では「準委任」が唯一適切な選択肢となる。


現場での契約形態の選び方

AI開発の現場では、状況に応じて適切な契約形態を選ぶ必要がある。

1. 要件が曖昧なPoCフェーズ

→ 柔軟な対応が可能な「準委任契約」が有効。

2. 明確な成果物が求められる本番開発

→ 成果責任を明示できる「請負契約」が適している。

3. 内部スタッフのようにチーム参加させたい場合

→ 一見SESが向いていそうだが、指揮命令を伴うなら「派遣契約」となるリスクあり。法的な整合性に注意。


SES契約における実務の注意点

SES契約では、実際の作業管理はベンダー側が行う必要がある。
発注者が作業指示を直接出してしまうと、偽装派遣と見なされるおそれがある。

現場での注意点:

  • タスクの割り当てはベンダーのPMを通す
  • 進捗報告もベンダー側が管理
  • 作業指示はあくまで「依頼」ベースで伝える

契約形態の理解があいまいだと、法的リスクに発展するケースもある。


まとめ

G検定では、AI開発の理論やアルゴリズムだけでなく、「実務的な知識」も問われる。
契約形態の理解は、AIプロジェクトの立ち上げや外部委託を行う際に欠かせないポイントだ。

✅ SES契約の法的な位置づけは「準委任契約
✅ 成果物を納品する契約は「請負」、業務そのものを行うのが「準委任
✅ 指揮命令が発生する契約は「派遣」に該当し、法的制約が強い

契約形態を正しく理解することは、プロジェクトの成功とリスク回避の両面で重要となる。
G検定の試験対策としてはもちろん、現場のエンジニアやPMも知っておきたい基礎知識だ。

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