はじめに
約2年半の沈黙を破り、ついに無印iPadの新型「iPad(A16)」がベールを脱いだ。
「円安だし、どうせ高くなるんだろうな……」という我々の不安をよそに、Appleが提示したのは「価格据え置き・容量倍増」という、嬉しい意味で期待を裏切る回答だ。

本記事では、新型iPad(A16)の進化点を整理しつつ、AnTuTuの計測データをもとに、この「新世代のエントリーモデル」が秘めた真の実力をプロの視点で徹底解剖する。
iPad(A16)の主要スペックと進化のポイント
今回のアップデートを一言で表すなら「堅実すぎる底上げ」だ。
派手な新機能こそないが、ユーザーが一番欲しかった「余裕」が絶妙なバランスで追加されている。
| 項目 | iPad(A16)スペック詳細 |
|---|---|
| SoC | A16 Bionic(5コアCPU / 4コアGPU) |
| ストレージ | 128GB / 256GB / 512GB |
| ディスプレイ | 11インチ 液晶(2360×1640)500ニト |
| サイズ / 重量 | 248.6 × 179.5 × 7mm / 477g(Wi-Fi) |
| カメラ | リア:1200万画素 / フロント:1200万画素 |
| 価格(税込) | 128GB:58,800円 / 256GB:74,800円 / 512GB:110,800円 |
性能検証:AnTuTuベンチマークから見る「A16」の立ち位置
今回の目玉は、なんといってもSoCがA14からA16 Bionicへジャンプアップしたことだ。
ここで、最新のAnTuTu計測データを振り返ってみよう。
AnTuTu v10 ベンチマーク比較表
| SoC (CPU) | 総合スコア | GPUスコア | 測定機種 | 発売時期 |
|---|---|---|---|---|
| Snapdragon 8 Gen 2 | 1,660,701 | 610,834 | OnePlus Ace 2 Pro | 2023/8 |
| Dimensity 8400-Ultra | 1,660,633 | 606,958 | POCO X7 | 2025/2 |
| Apple A15 Bionic 5コアGPU | 1,651,297 | 509,602 | iPhone 14 | 2022/9 |
| Apple A16 4コアGPU | 1,648,046 | 506,526 | iPad (A16) | 2025/3 |
| Snapdragon 8 Gen 2 | 1,637,525 | 602,544 | vivo X90 Pro+ | 2022/11 |
| Apple A15 Bionic 5コアGPU | 1,635,930 | 502,624 | iPhone 13 Pro | 2021/9 |
| Apple A18 4コアGPU | 1,634,814 | 514,944 | iPhone 16 | 2025/2 |
| Apple A14 Bionic | 1,209,024 | 441,646 | iPad Air (第4世代) | 2020/10 |
【プロの批評】このスコア、実はかなり「攻めて」いる
この一覧表を読み解くと、iPad(A16)の実力とAppleの巧妙な製品戦略が透けて見える。
- 120万点から164万点への飛躍
前モデル相当のA14 Bionic(約120.9万点)と比較して、総合スコアは約36%も向上している。
これは単なる「微増」ではなく、アプリの起動速度やマルチタスクの快適性が別次元になるレベルの進化だ。 - 「4コアGPU」の絶妙な調整
iPad(A16)はiPhone 14 Proなどの5コアGPUから4コアGPUへ削減されている。GPUスコア(約50.6万点)を見ると、A15搭載のiPhone 14(約50.9万点)に肉薄する数値だ。
重い3Dゲームの最高設定は厳しいかもしれないが、一般的な動画編集やクリエイティブ作業には十分すぎるパワーだ。 - 最新のA18(iPhone 16)に並ぶ基礎体力
驚くべきは、最新のA18(約163.4万点)と同等の総合スコアを叩き出している点だ。これはiPad特有の放熱効率の良さが、ベンチマーク結果に有利に働いた可能性がある。
つまり、「安価なエントリーモデルなのに、中身は最新スマホ級の快適さ」という逆転現象が起きているのだ。
ストレージの「64GB呪縛」からの解放
今回の発表で最も拍手を送りたいのが、最小ストレージの倍増だ。
- 旧モデル
64GB(OSと数本のゲームで限界が来る容量) - 新モデル
128GB(標準搭載)
価格が58,800円のまま据え置かれ、容量だけが2倍になった事実は、実質的なプライスダウンと言っていい。
さらに、これまで存在しなかった「512GB」という大容量モデルも新設された。
「エントリーモデルで512GBもいる?」という声もあるだろうが、動画をオフラインで大量に持ち歩きたいユーザーにとって、選択肢があること自体が正義なのだ。
ディスプレイが「11インチ」へ微増
地味ながら、ディスプレイサイズが10.9インチから11インチへと拡大された。
これにより、現行のiPad Airと物理的なサイズが並んだことになる。解像度や輝度もAirと同等だ。
ただし、注意点もある。上位モデルにある「フルラミネーションディスプレイ(ガラスと液晶の隙間を無くす加工)」や「反射防止コーティング」は、今回も非対応だ。
ペン先のズレを気にするイラストレーターなら、依然としてAir以上が有力候補になるだろう。

まとめ
iPad(A16)は、奇をてらった進化こそない。
しかし、ストレージ不足という最大の弱点を克服し、最新OSを軽快に動かせるパワーを手に入れた。
こんな人におすすめだ。
- コスパ重視の人
6万円以下で128GB、しかもA16搭載は現状のベストバイだ。 - エンタメ消費がメインの人
11インチの大画面は動画や読書に最適だ。 - Apple Intelligence(AI)を重視しない人
AI機能には非対応だが、それ以外は「これで十分」と言える完成度だ。
あなたはこのiPadで、何を始めたいだろうか?
まずは今使っているスマホのストレージ使用量を確認してみてほしい。
もし128GBで足りそうなら、このiPad(A16)はあなたにとって「最高の相棒」になるはずだ。


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